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最終処分法のカラクリ

  • 2020年09月14日

 片岡寿都町長が、文献調査の20億円、概要調査での70億円を町の財政に生かしたいとの思惑で精密調査まで視野に入れ、最終処分場選定の場面になったら将来の若い方々が決めれば良いと結論を先送りして、自らは路線を引いただけとしたいようですが、世の中はそんなに甘いものではありません。

 経産相の「町長や知事が反対すれば次には進まない」という文章を「錦の御旗」のように言っていますが、「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律(最終処分法)」はそのような作りになっていません。

 第6条:文献調査の対象となった地区から概要調査地区を選定しなければならない。

 第7条:概要調査の対象となった地区から精密調査地区を選定しなければならない。

 第8条:精密調査の対象となった地区から最終処分施設建設地を選定しなければならな

     い。

 第10条:最終処分施設建設地に最終処処分場を設置する。

 となっています。

 すなわち、最終処分法は、文献調査を行えば概要調査の対象地区となり、その後、精密調査の対象地区に、そして最終処分場に進むという一直線の義務規定が書かれた法律です。

 第4条:概要調査地区等の所在地を定めようとするときは、当該概要調査地区等の所在

     地を管轄する都道府県知事および市町村長の意見を聴き、これを十分に尊重し

     なければならない。

 とあることから、町長はこの条文に沿って断ることも出来ると解釈しているようですが、これは、次の段階に進まないというだけで、白紙に戻すということではありません。

 以前にもブログで書きましたが、国は文献調査を行ったというアリバイをきっちりと確保することになっています。

 北海道の場合、知事が考え方を変えるか次の知事に交代した場合、その知事が承認すれば、自動的に既に終了した文献調査を省いて概要調査に進みますし、概要調査を行った地区から精密調査地区に進み、更に最終処分場への道をひたすら進む事になります。

 ようするに、経産相が寿都町長に渡した文書は、「反対であれば白紙撤回する」というのでは無く「受け容れるまで待っている」と言うことになります。

 20億円を手にすれば、当然、金だけ受け取って次の調査には進まないということにはなりません。国は町長を説得するでしょう。それは地方財政の根幹となる交付税など様々な手法を取ることになります。

 また、条例があることで知事が反対を貫いても、道は「北海道開発予算」という他の自治体とは違う予算が交付されています。

 これらは知事を説得する材料にもなってくるでしょう。

 文献調査を了承すると言うことは、最終処分場まで了承するという前提に立たなければならない重要な判断のスタートとなります。

 道には法律担当部署が有りますから、知事は最終処分法のカラクリを知り、さらに道条例を遵守する立場もあって、スタート段階から道条例の「特定放射性廃棄物は受け容れ難い」という条文を、片岡町長にも遵守して欲しいと言う考え方を明らかにしているものと思います。

一方、寿都町には法律の専門職員を置くほどの余裕は無いと思いますから、勉強会でもNUMOの職員からの一方的な情報しか入らないのではないでしょうか。

 さらに、神恵内村は商工会の会長である村会議員の方は雇用が目的と言い、地層処分の判断基準も明らかにされていない法の内容などはさておいて、既に施設設置まで思い描いているようです。

 片岡寿都町長も神恵内村議会も、もう一度最終処分法の意図するところをじっくりと検討して欲しいと思います。


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