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安全な場所など無い

  • 2021年07月11日

 昨日、「バイバイ大間原発はこだてウオーク」主催の上映会に行ってきました。

 その映画は、英国出身・スイス在住の物理学者で、国際的に核廃棄物貯蔵問題専門家としても高名な原発推進論者のチャールズ・マッコンビー氏が、世界各地の同胞たちとこの問題に取り組む姿を、反原発の立場のスイス人であるエドガー・ハーゲン監督が同行しながら撮影したドキュメントで、邦題は「地球で最も安全な場所を探して」。

 二人が訪れたのは、イギリス:カンブリア州・セラフィールド、スイス:フェルゼナウ、グリムゼル花崗岩試験場、ベンケン、ドイツ:ニーダーザクセン州・ゴアレーベン、スウェーデン:エストハンマル、中国:甘粛省・ゴビ砂漠、日本:六ヶ所村、オーストリア:オフィサー盆地、アメリカ:ハンフォード・サイト、ユッカマウンテン、ニューメキシコ州・カールスバッド、の12カ所ですが、中国を除いて、どこの地域も住民が少ない日本で言う過疎地で、米国の場合は、先住民族の居留地あるいはその聖地ともなっています。

 当然、住民は反対して、どの場所も未だに計画が進んでいないか、中止となっており、中国だけは、住民への情報が十分でないこともあって、国が進めることに不安はあっても大きな反対とはなっていませんでした。

 しかし、共通しているのは、原発を推進してきた国々は今、高レベル放射性廃棄物の処理に苦慮しつつ、解決策を見いだせていないということです。

 フィンランドのオルキルオト島に「オンカロ計画」を推進しているフィンランドさえも放射線の半減期である10万年後のことまで想像することも出来ず、今の段階ではおそらくこれが有効な処理方法の最後の手法であると考える他にないということです。

 前述のように、何処の国であっても候補地となった過疎地の住民は核廃棄物について不安を抱き、どこの政府も迷惑料として高額の支援金を用意して住民を説得しようとしています。しかし、住民は例外なく受け入れを反対しており、チャールズ・マッコンビー氏ら著名な専門家も説得することが出来ず、最終処分場が稼働している所は世界中一カ所もありません。

 1942年に始まったマンハッタン計画から核の開発が進められ、人類はウランとプルトニウムから核を抽出し、それを融合する事によって巨大な爆発を起こし、更に熱と放射能によって人々を殺傷するための武器を手に入れました。さらに、核物質から莫大なエネルギーを得る方法を知り、原発を建設するに至りました。

 それから79年、1951年の世界初の原発から70年、日本で初めての東海村に出来た原発から58年です。

 世界中が原発に依存し始めてから約40年、どの国の政府も核廃棄物のことは考えないようにして先送りにしてきました。

 日本では、使用済みの核燃料は再処理を行う事によって永久にエネルギーとして使用できる「核燃サイクル」という夢想を国民に植え付けてきましたが、もう国民を騙せません。

 100年にも満たない間に排出された廃棄物に、10万年以上もの歳月をかけて処理をする、しかも完全な処理ではない方法で。

 映画は、『地球上に最も安全な場所などは無い!』と突きつけているようでした。


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