黒川の女たち(ブログ4025)
- 2025年09月04日
シネマアイリスで、映画「黒川の女たち」を見ました。
戦時下、国策で行われた「満州開拓団」は、低所得の農民たちに「新天地での満蒙開拓で、所得の向上を」と呼びかけ、全国各地から満州へ送られました。岐阜県からも黒川村の開拓団が満州で農業を営んでいましたが、敗戦の色が濃くなる中、突如としてソ連が満州に侵攻、多くの開拓団は集団自決に追い込まれましたが、黒川開拓団は、ロシアの将校に日本へ帰国できるように懇願、その代償として18歳以下の子どもと結婚している婦人を除いた18歳以上の女性15人が将校の接待役として差し出されました。
接待の意味も分からずに差し出された彼女たちは、遮るものもない所に布団が並べられて、毎日のように強姦が続きました。
帰国後はソ連兵に抱かれた女という偏見と差別で、彼女たちは身を潜め、口を閉ざして生きてきましたが、老いてから生き残った4名が、「このままでは、私たちが何をされてきたのか知るものはいない。歴史の中に私たちの苦しみがあったことをきちんと残したい。なかったことにはできない」という思いから、それぞれが口を開き、多くの記録となりました。また、黒川開拓団の団長の4代目の方が遺族会の代表だったことから、彼の地道な働きかけもあって、過去の出来事を聞き出すことも出来たのです。
そして、故郷黒川村のお寺に、記念碑を建立して後世に残すことが出来ました。
黒川の開拓団は、一方の被害者です、しかし、彼らが満州に着いたときには、それまで開拓をしてきた満州人を日本軍が追い出し、開拓団はその土地で農業を行ったという加害者の側面もあったのです。戦争という狂気は人間の倫理観を簡単に壊してしまいます。
戦争による「性加害」は日本の慰安婦、そしてソ連の兵士も同じようなことをしてきました。多分、第2次世界大戦ではヨーロッパでもアジアでも同じ事が起きたでしょう。
いまでも在留米軍は沖縄においてレイプ事件を繰り返しています。
戦争は、人を悪魔に変えてしまいます。人を何人も殺す経験から、犯罪という罪悪感はいとも簡単に消されてしまいます。考えたくはありませんが、ウクライナでもガザでも同様の事が起きていないとは言い切れません。