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高齢者施設の危機(ブログ3402)

  • 2023年11月22日

 地方の高齢者施設が運営を続ける事が出来なくなり、遠くの自治体の施設まで頼らなければならないことが報道されました。

 新聞によると、全国老人福祉施設協議会が10月に公表した調査では、全国の特養の62%が22年度の収支で赤字となり、前年度の43%から大幅に増えていることが分かりました。

 介護職員離れによる人手不足、そこから派生する労働環境の悪化、そして物価高騰や燃料費の高騰が追い打ちをかける。入所者の定員を減員してやり繰りするも、日中のデイサービスなどはなるべく受け入れざるを得ない。家庭介護の家族のためのショートステイも求められる。

 さすがに、運営が八方塞がりとなり行政に相談しても、問題の解決の道筋は全く見えないというのが現状だということです。

 そんな施設をただ同然の「1円」、「1万円」などで売却希望することが珍しくもないということです。

 無論、新聞にも掲載されていましたが、購入しても、その施設の累積負債(借金)が付いてくることから、売却の希望があっても買い手が見つかりません。

 以前は、特養などの高齢者施設も公営で運営されていましたから、施設が閉鎖してしまうことなど有りませんでした。

 当然、行政には大事な事業である高齢者福祉の維持向上という目的がありますし、憲法で保障されている「生存権」の行使を求めるのは全ての国民の権利です。

 しかしいま、それが脅かされています。

 国民は40歳を過ぎると介護保険に加入することが義務づけられ、保険料を支払っていますし、介護認定によって、受けることが出来るサービスは行政が責任を持って提供しなければなりません。

 今、このような実態が現実として目の前に有りながら、サービスを受ける国民に我慢を強いるのは、政府の不作為としか言えません。

 さらに、財務相の諮問機関である「財政制度審議会」は来年の医療報酬、介護報酬の見直しに向けて、介護施設利用料の2割負担対象者の拡大や高齢者施設の相部屋(多床室)の部屋代有償化などを目論んでいます。

 政府が今やるべきことは、どこに住んでいても安心して老後が過ごせる施設の配置、介護報酬の引き上げによるマンパワーの確保、物価高騰への対応などではないでしょうか。

 そのためには、施設設置や運営を公営で行う事を再考することや、閉鎖を予定している法人から施設を買い受け、雇用を確保し、公費を投入して運営を続ける事ではないでしょうか。


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