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震災がれきキャンペーン

  • 2012年04月08日

北海道新聞でも「どうする震災がれき」というテーマで特集が組まれ、これまで多くの議論が百出しているがれき処理問題ですが、政府は被災県の復興を阻んでいるのが「がれき処理」であり、このがれきを引き受けない自治体が多いことは非常に残念だとばかり、震災がれきキャンペーンを行っています。
被災3県のがれきの総量は約2,272万t(環境省)となっており、内訳は岩手県約450万t、宮城県約1,600万t、福島県約220万tとなっています(数字の端数は入れていない)。
この内、広域処理の対象となっているのは岩手県で1割強(約50万t)、宮城県で2割強(約320万t)であり、合わせても約370万t~400万tであることはあまり知られていません。
残りは、国や県が分別後に再利用する計画になっていますが、分別がかなり進んでいるにも関わらず、この1年間で全体の約7%程度しか処理されておりません。
先般の道新の特集インタビューで、岩手県陸前高田市長は、「県や国に市が自前の処理施設で処理することを願い出たが、建設に時間がかかるなどの理由で相手にしてもらえなかった」と話していました。
いつもTVの画面に出てくるがれきの8割以上は国や県が責任を持って処理することになっています。
一体どこが足を引っ張り、何がネックとなっているのでしょうか。
記憶に新しい「阪神淡路大震災」の時の震災がれきの量は、今回の東北大震災に匹敵する約2,000万tでしたが、1年間で50%以上処理が進み大半のがれきが大阪湾の埋め立てに使用されました。
阪神淡路大震災の5分の1(約400万t)程度のがれきの処理以上に深刻なのは、約1,800万tのがれきの処理を遅々として進めることができない環境省の処理計画だと思います。
それが、いつの間にか広域処理に協力しない自治体が悪いということに責任が転嫁され、「困っている人を助けるためには、多少の放射線が含まれていてもいいではないか」という、がれき受け入れキャンペーンが飛び交っています。
少し前、昨年の夏には静岡県のお茶が、東北各地の稲わらが、岩手県や宮城県の果物や野菜が放射能汚染で問題になったことを忘れたかのように、大丈夫な数値だと国は喧伝し、各県や各市町村でも独自の基準を設けたりして受け入れを検討しています。
しかし、既存の埋め立て処分場や焼却施設は放射性物質を処理することを想定していません。
焼却工場に設置されているバグフィルターは、ダイオキシンや煤塵(ばいじん)除去対策で設置されたもので、環境省の有識者会議で放射性物質にも効果的とされましたが、担当者は実験データー無しでの発言であったことを認めました。
静岡県島田市では、ガレキの受け入れを始めました。
受け入れに先駆けて焼却実験を行った結果、放射性物質は「不検出」と公表しましたが、「株式会社静岡検査センター」が焼却工場の田代環境プラザ周辺を調査した結果、環境プラザ東側側溝から放射性セシウム134が323ベクレル、セシウム137が417ベクレル、合計740ベクレルの放射性物質が検出されたと報告しています。
環境プラザは74t/24H炉が2炉で、1日に148tの廃棄物が処理され、排出される排ガスは1時間当たり約2万立方メートルで、その流量から考えると1日約4万ベクレルのセシウムが大気中の放出されると想定されるようです。
函館市の焼却工場は、120t/24h炉が2炉、180t/24h炉が1炉の施設規模で、通常、2炉運転となっていますから、240t~300t/24hの範疇での運転で、田代環境プラザと按分しますと約6万5千ベクレル~8万1千ベクレルのセシウムが日の出清掃工場から大気に排出される計算となります。
焼却灰は1kgで3,300ベクレルに濃縮されますから、これを処分場に埋め立てるとなると、雨や雪などの影響で、埋め立てられた焼却灰や廃棄物から滲出する汚水を処理する汚水処理場でも、セシウムは除去できないまま河川に放流しなければなりません。
岩手県や宮城県のがれきは放射性物質に汚染されていないというのは嘘です。なぜならば、国は1kgあたり240ベクレム~480ベクレムまでの汚染は大丈夫、焼却灰は8,000ベクレムまで大丈夫と言っているからです。汚染されたがれきを広域処理をするということは、国中を汚染することに等しいのであり、封じ込めこそが汚染の拡大を防ぐものと思います。
国はいつまで8割のがれき処理を放置するのでしょうか。
責められるのは、受け入れに慎重な自治体ではなく、放置をしてきた国なのです。


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