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電気需要(ブログ4091)

  • 2025年11月09日

 先般、札幌市内で行われた泊原発3号炉再稼働に関わる道主催の住民説明会では、今後の電気の需要について、経産省エネルギー庁(エネ庁)の担当官が、「今後、北海道は半導体・データーセンターの誘致などによって電気需要は大幅に伸びることが想定される。従って、原発の再稼働は必要となる」ということを話し、電気需要の確保の重要性について説明していました。

 さて、エネ庁の管理官が説明していたように、今後の北海道の電力は原発を再稼働しなければ不足してしまうのでしょうか。

 北海道には「省エネルギー・新エネルギー促進条例」があり、この条例によって「北海道省エネ・新エネ促進計画」が2021年~2030年までの第Ⅲ期計画が進行中で、今年25年に中間見直しを行います。

 この間、道内では、新設や改修などの時にZEH・ZEB(高断熱工法による省エネルギー住宅やビル)に移行することが進められていますし、無駄な電気を消灯するほか、省エネ家電や省エネ施設・機器などが導入され、道もその支援を行っており、第Ⅲ期の中間年の前年で、目標達成率が63%となっています。

 一方、新エネ(再生エネルギー含む)の促進については、この間、バイオエネルギー、水素エネルギー、雪氷エネルギー、地熱エネルギーなどの研究開発が行われ、実証や商業利用まで進んできています。無論、太陽光エネルギーや風力エネルギーの賦存量は全国の電源を賄う程のポテンシャルを有しており、再エネの発電施設の容量は現在で824万kwとなっています。無論、その施設容量がいつも確保されているわけでは無く、定期点検や故障なども考慮し、さらに、フル発電が出来ない物理的な要素もありますが、施設容量は十分に備えられています。

 今後に期待される海洋風力発電は、桧山沖、松前沖が政府の「促進区域」に認定され、百万kw規模の風車が建設されることになりますし、本州と北海道の電気融通を可能にする「北本連携」は既に90万kwとなり、28年には更に30万kw増強して120万kwとなります。

 今後は、人口減少による需要の減少だけでは無く、更に省エネルギー家電や機器により、需要減も期待されます。

 何より、半導体メーカーやデーターセンターなどは、CO2排出には敏感で、クリーンなエネルギーを使用する事で海外からの融資や投資に期待をかけています。ラピダスは再生可能エネルギーでの稼働を求めていますし、大規模データーセンターを建設予定のソフトバンク孫・会長は、施設で使用するエネルギーを100%自社敷地内で確保すると話しています。またその他のデーターセンターも同じような目標を持っています。

 さらに、原発が稼働していない今年の夏の最大電気使用時であっても電源予備率は11%、電気需要が多い真冬でも予備率は4%の余裕があり、夏には再生可能エネルギーの発電制御までしています。

 加えて、電力広域的運営推進機関(OCCTO:オクト)によると北海道の最大需要電力推計では、半導体やデーターセンターの新増設に伴い電気需要が最大となるであろう2030年には、夏場で459万kw、冬場で539万kwとなっています。

 オクトが将来推計した結果、2030年には2021年比で電気需要は16%削減、その後35年には21年比11%削減で、2040年には2021年水準に戻ると推計しています。

 適切な省エネを行えば電力需要は増えないですし、適切な再エネ導入が進めばCO2排出源である石炭・石油の火力発電の停止、そして、原発なしでも電力需要は賄えると環境経済政策学会には報告されています。

 これだけの合理的理由が有ってもエネ庁は原発が必要だと説明しています。

 さて、道民の皆さんはエネ庁の説明に納得が出来るのでしょうか。


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