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難民と避難民

  • 2022年04月08日

 昨日は、ウクライナからの避難民の受入について掲載しましたが、日本に入国した避難民への対応についても、課題は山積です。

 なにせ、日本は外国からの難民を極力行け入れないことを国策としていますから、今回の受入処置は「難民」ではなく「避難民」という区分を導入し、入管で取り扱う「難民」としてでは無く、「避難民」という特例として受け入れることにしたようです。

 全国各地の自治体や企業では公営住宅の提供や就職支援など人道的な支援の申し出があり、政府は、これら自治体と連携して滞在先を確保する他、生活費や医療費などを公益法人「アジア福祉教育財団難民事業本部」を通じて支給する事とし、避難民が希望すれば職業訓練や日本語の研修、就職斡旋などを行い、1年間の在留資格を認める事になりました。

 しかし、ここに「難民」と「避難民」の違いが表出します。

 難民条約による「難民」ではないことから、難民認定されれば認められる5年間の定住資格や永住者要件の緩和などの幅広い権利の保障はありません。

 難民条約は①人種差別②宗教弾圧③他国籍④特定の社会的集団の構成員⑤政治的思想 等の理由によって迫害を受ける恐れがあることにより国外にいる人を難民と規定し、戦争や災害は定義に無い事から、ウクライナからの避難民は難民には該当しないということになり、ここに、政府がウクライナからの入国に「難民」としてでは無く「避難民」として区別した真意が表れています。

 そして、日本は世界中から非難されているように難民を受け入れる事に消極的、いや否定的な国なのです。

 その事は、名古屋入管(入国管理局)内で死亡したするスリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリアさんの件で判るように、非情なまで冷徹な国なのです。

 この国に生まれて暮らしている一人として、日本政府が困っている外国人に対してこんなに冷酷な対応しか行わないことに憤りを感じています。

 様々な事由で滞在期間がオーバーステイとなってしまい、入管に収容されれば、帰国の説得という半ば強制的な送還への道を辿ることになります。

 収容から仮放免を求めても認められず、長期にわたる入管での収容は病気になっても治療は行って貰えず、身体的・精神的苦痛を与えられ、日本に残りたいなどと言う考えを変えさせるなどの拷問とも言える状態に置かれてしまい、さらに仮放免の申請を3度行えば強制送還させられることになります。

 これらの事を平然と行う入管職員に、「人間の尊厳」などという意識があるのか疑いたくなります。そして、根本的に政府にこのような入管制度を改革するという考えが無い限り、日本は難民にとって保護を求める国とは言えません。

 こういう実態から、2020年には国連人権理事会(今回のウクライナ戦争におけるロシア軍の民間人の虐殺に対して、ロシアの理事資格停止を決議する採決を行う機関)の「恣意的拘束禁止作業部会」が、日本政府に対し「国際法違反」と指摘している他、以前からも国連の「拷問禁止委員会」などの条約機関から幾度となく勧告を受けても、日本政府は「問題なし」という態度を貫いてきました。

 このように世界中から非難されている入管行政の中で、ウクライナだけ特別扱いをする事の矛盾を政府はどのように認識しているのでしょうか。

 まさしく、今回のことを契機に国際法違反と言われる入管制度を抜本的に改革しなければ、世界の先進国とは呼べず、他国民排斥の利己的後進国と言われ続けることでしょう。


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