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連合会長の労働者イジメ(ブログ3239)

  • 2023年06月05日

 連合の芳野友子会長が定例記者会見で、「『働き方に中立的な社会保険制度等のあり方に関する連合としての方向性(素案)』について、第3号被保険者制度の廃止を盛り込んだ事についても提起した。」と話したことを「女性自身」が配信しました。

 第3号被保険者制度は、専業主婦世帯が主流だった1986年4月に導入された制度で、それまで自営業者向けだった国民年金制度が、全国民共通の保障である基礎年金制度になったことから、会社員や公務員、その配偶者も国民年金の第3号被保険者として区分することになりました。

 それまでは会社員や公務員の配偶者である「専業主婦」は国民年金加入の義務は有りませんでしたから、離婚や夫に先立たれたり障がいを負ったりすると無年金となり、たちまち生活に困窮することになったわけです。

 また、一方で、当時は子育てから親の介護、家事全般を押しつけられ家に縛られてきた専業主婦は、自ら働きに出ることや女性の社会進出など困難な時代でした。

 そのことから、サラリーマンの「妻」である期間は保険料を納めたとみなし、老齢基礎年金もその期間に合わせて支給され、その保険料は厚生年金制度が負担するという枠組みとなっています。

 連合の芳野会長は、「女性も社会進出を行う時代である事から、専業主婦であっても保険料を支払う事で公平な年金制度となる。つまり、妻の分の保険料も夫すなわち世帯が負担すべきだというのが連合の方向性だ。」と主張している事になります。

 この第3号被保険者制度の廃止は、岸田政権が「社会保険制度の見直し」の中で盛んに話している内容そのものです。

 芳野会長の主張が現実になれば、現在約763万人いると言われる第3号被保険者は国民年金分として保険料を一ヶ月あたり1万6,520円、年間約20万円を支払わなければならなくなり、家計への負担は大きく春闘での賃投げ分は軽く吹っ飛んでしまいます。

 芳野会長はこれまでも自民党の麻生氏と会食したり、自民党の勉強会に講師として出席したり、メーデーや新年交礼会では岸田氏を来賓として招待して挨拶をさせ、立憲民主党の泉代表や国民民主党の玉木代表は紹介のみという、つまりは、自民党べったりの連合会長として名を馳せています。

 芳野会長は、果たして労働者の味方なのでしょうか、それとも自民党の回し者なのでしょうか。そしてそれを否定もしない連合という組織は一体何処に向かおうとしているのでしょうか。

 自民党は、伝統的な家族観を重視し、女性は家庭で出産・育児・家事・介護に励むことを求め、一方、女性の地位向上やジェンダーなどには目もくれません。その結果、多くの女性は、専業主婦か非正規やパートで働くことを余儀なくされてきました。

 今後、政府は介護保険制度を見直し、保険料や自己負担も引き上げようとしています。

 そうなれば介護はまた家庭へと戻り、女性はさらに負担を強いられる事になります。

 年金の公平さを求めるならば、介護制度や保育制度を十分に整えて女性が働きやすい環境を作ると供に、男女の賃金格差や非正規職員と正規職員の待遇差を解消することであり、連合は、その事に最大限の力を注入すべきでは無いでしょうか。

 このことも出来ずして、何が「中立的な社会保険制度」なのか。

 岸田氏同様、連合の芳野氏も中身が空っぽなようです。

 この方が連合のトップであり続けるかぎり、連合の労働者離れは残念ながらドンドン加速することでしょう。


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