無期雇用を(ブログ4052)
- 2025年10月01日
官製ワーキングプアと呼ばれ、官公庁の悪しき人事政策であった「会計年度任用職員制度」。雇用の流動化と低賃金雇用、解雇の自由度向上の手段として、雇用主にとってこの上ない雇用形態の「役所バージョン」が会計年度任用職員でした。
役所の仕事には、経済担当部が雇用の安定を所掌事務として担っていますが、そのお膝元の役所が、不安定雇用にアグラをかいてきました。
その根拠は、総務省が示したマニュアルに「採用試験無しに再任用できる期間は2回まで」という規定を盛り込んでいたからです。
会計年度とは、1年間の会計年度ということですから、最初の年は採用試験を受けて任用され、連続しての再任用は2回までと言う事になります。つまり3年間は仕事を続けていけますが、その後は改めて任用試験を受ける事になります。
労働法の改正により、非正規職員が5年経過した場合、本人の申請によりこれまで毎年の雇用契約であった有期雇用から、契約期間が無期となる雇用への転換を求める事が出来るようになりました。一方、これまで柔軟に雇用調整していた人事担当者にとっては、財政的な制約も有ってなかなか踏み込めなかった問題です。
しかし、これまで3年経過後どうなるのか不安な日々を過ごしていた会計年度任用職員にとっては、本人の希望により無期雇用としての道が開けることになり、その事で自身のスキルアップへの意欲も湧いてきます。
総務省は昨年6月から「2回を限度」という規定を「地域の実情に応じ適切に対応」というように変更しました。
今日の報道では、道内の17市が、再雇用の公募試験を行っていないことが北海学園大学の川村雅則教授の調査で明らかになりましたが、この17市の中には札幌市、旭川市、そして函館市も北斗市も含まれていません。
道内は36の市が有ります。その内の17市しか非正規公募試験を行っていない、つまり無期雇用を実施しているのはこの17市のみとということです。
雇用の安定を推進する立場の役所が、財政という余りにも個別の理由で雇用を不安定にしているのです。早く道内の市が町村を引っ張っていくように制度の見直しをしなければ、役所で働く人材が枯渇してしまいます。各自治体首長の英断を期待します。