瀬戸際の人口減(ブログ3972)
- 2025年07月13日
婦人公論.jpで哲学者・思想家の「内田樹氏」が、中高生に向けた自著「どうしたらいいかわからない時代に僕が中高生に言いたいこと」の内容を抜粋して掲載していました。
人口減少、AIの深化、物価高の中で何を指針に未来を選べばいいか。
とりわけ、「人口減少が急激に進む日本」についてを、再掲します。
【学校の授業でも教わっていると思いますが、厚労省の試算では2100年、今から80年後の日本の人口は高位推計で6,800万人、低位推計で3,800万人、中位推計で4,850万人、多分この位で落ち着くだろうというあたりでも5,000万人を切るんです。若い皆さんはこれから80年後にも生きて22世紀を迎える事が出来ると思いますが、今から80年で7,600万人が減る。年間90万人ペース。何処の大学に進学しようか、何処の会社に就職しようかと考える前に、一番最初に勘定しておかなければならないのは人口が減るという社会状況です。
短期間にこんな急激に人口減を経験した国は歴史上存在していなく、どうしたらいいのかだれも知らないのです。「どうしたらいいのか分からない時代」に皆さんは突入するのです。それなのに、誰もそんな大事なことを議論しないのはナゼと皆さんは思うでしょう。
どうしてこうなったのか原因を探り、現状はどうなっているのか調査をし、どう対処をするのか政策を立てるというこの巨大な問題に対処するための政府機関が存在しない。
婚活だとか保育所を増やすとか、教育費を無償化するなど人口減というのはそんな目先の政策でどうこうなる話しではありませんが、政治家もメディアもどうしたら良いのか分からないのです。
今起きている人口減は、人々が自分の意志で子どもを産むことを止めている。これは人類が経験した事の無い事態です。それが何を意味するのかも、分からない。しかし、この問題と向き合い、然るべき政策を立てるための広がりのある想像力と論理的な思考力が必要です。
韓国も合計特殊出生率が0.72、日本は1.2ですから更に酷い人口減となります。 中国は、今後急激な高齢化に入りますが、年間500万人ペースで人口減が進みます。
一人っ子政策を35年間にわたって実行してきましたから人口構成がいびつで、一人っ子政策で圧倒的に男性が多く男女比も均等ではありません。つまり、この年齢層の男性達は配偶者をみつけるのが難しく、高学歴・高収入でなければ相手が見つからない。配偶者がいない場合、親が死ぬと妻も子も兄弟もいない天涯孤独の身となり、親戚のセーフティーネットもない。】と続けています。
私たちは、人口減少を食い止めるための政策しか考えて来ませんでしたが、まさしく人口が半分になった場合の福祉政策、経済対策、労働力確保、食糧計画、教育環境、交通政策など、様々な状況に対してAIやスーパーコンピューターなども屈指しながらシュミレーションをし、知力を結集していかなければならない瀬戸際に立っている事を自覚しなければなりません。