渡航制限緩和(ブログ4033)
- 2025年09月12日
政府がロシアへの渡航制限を事実上緩和する方針を固めたことが報道されました。
外務省はこれまで、ロシアのウクライナ侵攻に対する経済制裁とともに日本人の渡航については原則禁止としていました。
このたびの渡航制限緩和は、経済界からの要請が強く出されていたことをその理由としていますが、単純に経済界からの要望だけで行って良いものなのか、釈然としません。
さらに、この渡航制限緩和の「隠れ蓑」に利用するのが留学や文化交流です。端的に言うと観光旅行以外は渡航を認めると言うことと何処が違うのでしょうか。
日本は、ロシアのウクライナ侵攻という、力による現状変更に対して容認できるものでは無いと強行に反対していたはずです。政府としてロシアに対し強い意思を示さなければならないはずなのに、今回の様になし崩し的に制裁を解くことは、ロシアにつけいる隙を与えることになりはしないのでしょうか。プーチンの「ニヤリ」とした顔が浮かびます。
一方、ともに経済制裁と渡航制限を行っている欧米などには、「協調姿勢を崩さない」と、外面だけ繕っていますが、薄っぺらな外交は見透かされることでしょう。
つまり、日本は西側諸国の中にあっても、時によっては手のひらを返す事があると見られると言うことです。
言うまでも無く、日本はロシアからの力による現状変更を受けた国です。そして今でも北方領土返還を強く訴えていますが、本気なのかも疑わしく思えます。
例え、エネルギーに乏しく国策である「サハリン2」からの撤退が難しくても、現状は、ロシアからのエネルギー輸入を凍結しています。
プーチンは自身が大統領に就任している間は、ウクライナから手を引かないでしょうし、今後の展開は予測がつきません。渡航緩和で日本人がロシアに在留しても戦局が厳しくなった場合には、邦人の安全確保や帰国に支障を来す可能性も否定できません。
今回の処置は最悪の事も念頭に入れた対応とはとても思えません。