暫定税率で熟議を(ブログ3946)
- 2025年06月17日
ガソリンの暫定税率を7月から廃止する法案を巡って与党と野党の攻防が続いています。野党は、早期の審議入りを求め、与党は恒久的な財源の見通しがたっていないとして応じておりません。
そもそも、ガソリンの暫定税率は、1974年(昭和49年)に、自家用車の普及と共に高速道路等のインフラ整備の財源とするために導入、それも30年間という暫定期間を設けての税金でした。
この暫定税率は、ガソリン代が3ヶ月間1リットル160円以上が連続した場合発動され、1リットル130円以下が3ヶ月以上連続した場合に解除されるトリガー条項が付けられています
今、ガソリン代は、政府が段階的に補助し7月までに10円分の支援をすることになっています。そのこともあってか市中のガソリンスタンドの1リットルあたりのガソリン代は、一時の高騰より若干値段が下がっていますが、それもスタンドや地域によってバラバラの状況です。そして、7月が過ぎればこの支援がどうなるのかは先が見えていません。
暫定税率が設けられて既に50年以上が経過しています。つまり暫定では無く、幾十にも折り重なっている石油税の一翼を完全に担っています。
また、暫定期間が過ぎてしまったことから、政府は暫定税率分を東日本大震災復興財源としています。つまり、本来の暫定税率の目的から大きくかけ離れた使途になっています。
復興財源は、13年から25年間(2038年まで)法人税に10%、そして、個人所得税の2.1%が徴収されていますし、23までの10年間は都道府県民税500円、市町村民税500円の計1,000円も追加徴収をされていました。
そして、ガソリンの暫定税率分1リットル25.1円が復興財源という名目で徴収されています。既に暫定税率の目的とその財源の使途は曖昧模糊となっています。
先週の終わりから、イスラエルvsイラクの紛争が始まっています。そしてイスラエルはイランの石油施設への攻撃を始めました。イランはホルムズ海峡の封鎖や機雷の敷設も検討しています。中東に原油を依存する日本のガソリン代は高騰さえすれ、値下がりする要素は全くありません。
与党の言う恒久的な財源とは、これまで、あの分だ、この分だと理屈を付けて国民から暫定税率を巻き上げてきた分を、きちんと理屈を付けて既存の税金の中で対処する事にすれば、可能では無いでしょうか。
取り過ぎた税金を、政府は上振れ分として一人2万円、18歳以下プラス2万円としてばらまかこうとしていますが、この財源は税収の増収分から工面するようです。
いずれにしても、暫定税率の取り扱いは与野党で熟議をするべきです。熟議は石破氏の1丁目1番地なのですから。