安楽死幇助(ブログ3929)
- 2025年05月31日
フランス下院が、「死への積極的援助」を導入する法案を賛成多数で可決しました。
この法案は、終末期の患者に厳格な条件の下で致死量の薬を認めるというもので、これまでタブーとされてきた自殺幇助や安楽死を禁じる政策を大きく転換するもので、今後は秋に上院での審議が行われる予定になっていますが、カトリック系の信者が多い事や医療従事者からの反対も予想されることから、法制定まで紆余曲折が予想されます。
具体的には、自身で死を決断できる能力があり、重篤で治療が困難な病気に侵された終末期の患者で、苦痛を和らげる手段がないフランス国籍またはフランス在住外国人の成人のみが「死への援助」を受けられるとしており、患者は自ら薬を投与する必要があり、身体的に不可能な場合にのみ例外的に医師または看護師が投与できるというものです。
この制度を巡り、フランスは人生の終わり方について広く議論を行い、市民の過半数が死への積極的援助に賛同したことを受け、法案を策定するように支持したそうです。
同じような制度があるオランダでは、認められた患者の意思に従って医師が薬物などで死に導く安楽死や、スイスのように医師が処方した薬を患者が自ら使用するなど、欧州などでは、安楽死などの自殺幇助が広がっていく可能性が高くなっているようです。
日本では、以前ブログに記載した映画「プラン75}で、健康であっても75歳になれば安楽死か生存を続けるかを選択する。生存するという選択をすれば、健康保険を始め年金や介護保険などの社会保障を剥奪される。つまり、後は自己責任で生存してくださいと言う訳です。これは映画の話しですが、近年では、昨年の衆議院選挙前に行われた討論会で、国民民主党の玉木雄一郎代表が社会保障の保険料を下げるために、高齢者医療・終末医療の見直しに踏み込み、「『尊厳死の制度化』も含めて、医療給付を押さえ、若い人の社会保障料を抑える事が消費を活性化させる。」と発言、尊厳死の導入を公約にしました。
つまり、高齢者は社会保障費の重荷になっているというのが国民民主党の基本理念と言うことです。
国民民主党が、連立であれ何であれ政権に影響を持つ立場になれば、欧州だけでは無く日本でも、尊厳死の導入が検討されるかもしれません。宗教観が薄い日本人は、現実的な判断をする可能性が高いのではないかと少々心配です。