背景

ブログ月別アーカイブ

ブログ

>>前のページへ戻る

地方自治の瓦解か(ブログ3439)

  • 2023年12月29日

 福岡高裁が沖縄県の主張を退けて、政府による「行政代執行」を認める判決が出されました。

 辺野古埋め立て予定地の大浦湾北側に広大な軟弱地盤が広がっている事から、沖縄防衛局は工事の計画変更を沖縄県に提出しましたが、県はこの計画変更申請を認めず、政府は、苦肉の策として、公的機関である沖縄防衛局を個人と見立てて「不服審査請求」を行い、国交相がこれを認め沖縄県に申請受理を指示をしましたが、県はそれを認めなかったことから、政府が広域自治体である県に「行政代執行」を行う事にしました。

 その事にも県は反発して訴訟を起こしましたが、福岡高裁が県の主張を退けたことにより、政府による行政代執行が行われ、28日から工事に必要な建設機材などを置く場所の整備が始まりました。

 訴訟で明らかになったのは、地方と政府が対立した時に、政府が一方的に国策を押しつけるということが出来るという関係が、前例として出来上がったことです。

 地方自治法において、代執行の要件を厳しく定めているのは、(中央)政府と自治体(地方政府)が「対等・協力」の関係であり、地方自治が憲法で保障されていることに他ならず、自治体の権限を政府が奪うような介入は最大限に慎むべきであるということだと理解します、しかし、政府の思惑は先般の「地方制度調査会(地制調)」への諮問で、着実に地方の権限を縮小しようと目論んでいることが分かります。

 地制調は、非常事態における政府の指示権を強化し、自治体はそれに従わなければならないこととして、来年の通常国会に法改正を行うよう答申しました。

 政府による自治体への関与は「必要最小限」で有るべきですし、それが地方自治法に明記されている自治体の自主性と自立制への配慮なのですが、あたかも「上下・主従」の縦の関係を復活させようとしているかのようです。

 今回の様な代執行が前例として実施された事で、とても心配なのは、国策である放射性廃棄物の最終処分場が混迷している今、文献調査を受け入れた寿都町と神恵内村に対する「概要調査」に鈴木知事が反対した場合、同じような事が起こらないとは言い切れないからです。

 その結果、最終的な「精密調査」まで進み、最終処分場へと全て行政代執行が政府の主導で行われる恐れがあること。そして自治体は最終的に従わざるを得ないこと。今回の沖縄県の前例は、地方自治の瓦解の始まりかも知れません。


Copyright(C)高橋とおる後援会 All Rights Reserved.