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北方4島の現状

  • 2018年06月05日

 昨日まで、北方4島の択捉島にビザなし交流団として訪問していました。

 この間、ブログをお休みしていたことをお詫びいたします。

 初めての北方4島、北海道に住んでいてもなかなか訪れる事が出来なく、情報は外務省やマスコミ等からのものしか知り得ませんでしたが、やはり百聞は一見にしかずであることをを痛切に感じました。

 今、日ロはプーチン大統領と安倍晋三総理の間で「共同経済活動」の推進が議題となっていますが、択捉島に関して言えば、住んでいる住民に全くそのような情報が伝わっていないというのが現状のようです。

 また、ロシアはこの4島に対し、かなりの優遇策を国策として進めています。

 その目的は、ここにロシア人を定住させる、そして人口を増やし、確実にロシアの領土であることを内外に知らしめることだろうと思います。

 4島の個人所得、給料は、ロシア国内の同種の3倍となっており、年金の換算率も通常の2倍、すなわち20年就労すると40年間就労したものと見なして年金を支給します。 また、4島に住む場合、住宅を支給してくれ、それ以外に国内の好きな場所にもう一件住宅を支給、医療費は無料、教育費も無料で学校に食堂が用意され朝食・昼食・おやつも提供してくれます。

 ユジノサハリンスク市との航空便は週5日(通常1便だが、2便の日が2日有る)で搭乗費用はサハリン州の住民に限り半額、学校を卒業したら4島に来ると就職は100%、択捉島の中心地である紗那の街には市民ホールが建てられ、劇場(映画も上映できる)、公民館機能、体育館、プールが備えられており、誰でも無料で使用できます。

 私達の訪れたホームビジット先では奥さんが対応してくれましたが、ご主人とは警察の職場結婚、現在36歳で既に年金生活を謳歌しており、6月から3ヶ月間学校が夏休みなので、国がモスクワに用意してくれた住宅に家族全員で行き、サンクトペテルブルクを子ども達に見せるのが楽しみだと言っていました。

 島の就業者の半分が、ギドロストロイ社に雇用され、同社はカラフトマス・白鮭の養殖、漁業、水産加工、ホテル、温泉などを経営、国からの優遇も受けて一大コンツエルンとなっており、街の中心部は舗装も行き届いています。

 気候も夏場には30度を超える日も続くようで、寒い北のイメージはあまりなく、週末には海岸でBBQをやっている姿も見えました。

 住民の皆さんは、長年の交流事業のおかげで、違和感なく迎えてくれ、まるで姉妹都市の住民交流のような雰囲気の中で進められましたが、返還などに関する言葉などは極力避ける姿勢が住民まで浸透し、地区長からは「この地でロシアの伝統を守っていく」とか「今後も南クリル地区(北方4島)は大いに発展を続けるだろう」などと国の考えを表すかのような言葉が発せられました。

 恵まれたこの地域に住み続けたいと思う住民の意識が返還を遠のかせているように感じ、時が経つにつれてその色の濃さが増していくであろうと思わざるを得ません。

 領土問題の解決はたっぷり時間が有るわけではありません。


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