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刑法の保護法益

  • 2014年09月17日

 カジノの誘致に前のめりな高橋知事、道内では小樽市、釧路市、苫小牧市の三市が手を挙げていますが、未だに候補地を絞ることもせずにいることで、本気度が疑わしきかなとも受け取れます。

 ある人に聞いた話ですが、「千歳インターの利用が当初見込みより少ないことから苫小牧市のそれも新千歳空港に近い地域が有力なのでは、誘客のための空港と大型客船が停泊できる港湾という地の利があるし・・・」となるほどと思える内容の話をしてくれました。

 さて、日本はなぜ賭博行為を禁止しているのでしょうか。

 刑法185条〈常習賭博及び賭博場開帳等図利〉には、第1項:常習として賭博をした者は、三年以下の懲役に処す。第2項:賭博場を開帳し、又は博徒を結合して利益を図った者は、三月以上五年以下の懲役に処す。

 とあり、最高裁判決の保護法益(法令が特定の行為を規制することによって保護、実現しようとしている利益)では、「賭博は、国民に怠惰浪費の弊風(悪い風俗や風習)を生じさせ、勤労の美風を害するばかりではなく、甚だしきは暴行その他の副次的犯罪を誘発し、また国民経済の機能に重大な障害を与える恐れすらあることが、それを処罰する理由」と位置づけられています。

 個別の特別法で認められている公営ギャンブルは、①施行者が地方自治体または政府全額出資の特殊法人(公設)、②運営機関が非営利法人(自治体や国の外郭団体等)であること(公営)、③収益は社会貢献活動に使用すること(公益)、とされていますが、保護法益が侵害される懸念を持つことから、「公認されるべき限度については、立法政策上、極力慎重な配慮が用いられなければならない」ものとし、民営では行っておりません(パチンコ・スロットは賭博では無く遊戯という概念)。

 日本で初めて、民営で行うギャンブルとなる「カジノ」はその利益は民間のものであり、公益に資するのはほぼ税収くらいのものですから、想定される社会的反作用の方が大きいものと思います。


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