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冷たい中小企業対策

  • 2020年11月08日

 政府は、中小企業の定義を変更して合併や再編そして淘汰を推進する措置の検討に着手したようです。

 2021年度の税制改正に合わせ、中小企業への減税措置を設けるために、合併や買収(M&A)のための仲介手数料負担や買収する企業側の税負担を軽減する案を自民党と公明党が12月10日頃までにまとめる税制大綱に盛り込むことを目指しています。

 道新によりますと、首相のブレーンである新自由主義者の竹中平蔵氏や、成長戦略会議のメンバーであるデービット・アトキンス氏が唱えるもので、「中小企業は国内企業の99.7%を占めながら、従業員1人当たりが生み出す儲けを示す労働生産性は大企業の6割り以下で、経済成長の足かせになっている」という主張に沿ったものと報じ、一方<岡田知裕京大名誉教授は「地域経済に根ざした中小企業が大きく減れば、むしろ地域を維持できなくなる。立場の弱い個々の中小企業の力を育てる支援こそ大事だ。」>と指摘しています。

 いつものことですが、自民党は中小企業の見方のように振る舞い、経済対策を打っていくと言いつつ、その実は「ついてこれない中小・零細企業は置いていく。」という政策を進めています。

 そして、地域行政が行う中小企業対策は大半が融資に偏っており、商売への支援は、地域の商工会などが設置している相談員に押しつけているのが現状ではないでしょうか。

 コロナ禍では、既に商売を維持できなくなり倒産や店じまいする件数が増えています。

 結果的には、中小企業を合併・買収させれば失業者も増大し、消費が低迷をします。

 それが、成長戦略だとは全く思えません。

 昨年の消費税引き上げの際には、スーパーや百貨店などの小売業で、資本金を5,000万円以下に減らす減資が相次いだのは、消費税増税に伴うポイント還元制度の適用となるためでしたし、その一方で、コロナ禍で政府が実施した数々の補助制度では、商業・サービス業などの小規模企業向けの支援制度が利用できないという批判もありました。

 その理由は、小規模企業の定義が製造業・その他では20人以下に対し、商業・サービス業では5人以下となっているために、製造業では従業員19人でも申請できるものが、商業では6人いるだけで申請できないという矛盾もありました。

 国の政策は、全く矛盾だらけの「猫の目政策」と言わざるを得なく、中小企業をどうしようと思っているのかまったく分かりませんでしたが、今回は明らかになりました。

 アトキンス氏は、現在約360万件有る中小企業のうち、140万から150万件程度を残せばよく、残りは淘汰されるべきだとしています。

 中小企業経営者へのアンケートでは、コロナ禍で「廃業を検討している」と回答しているのが約1割、さらに、「助成金の申請をしていない」、「売り上げ低下に対策を行っていない」と回答したのは約3割となっています。

 これらの中小企業を、ただ「捨て置け」という政府方針は正しいのでしょうか。

 中小企業再建は、単に大企業の経営者だけで論じるのでは無く、中小・零細の経営者も含めた大きな議論が必要だと思います。


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