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共同親権(ブログ3542)

  • 2024年04月13日

 衆院法務委員会は12日、離婚後も父母双方が子の親権を持つことが可能となる「共同親権」を導入する民法改正法を可決しました。

 今までは、離婚の際に一方の親のみが親権を持っていましたから、進学や医療、転居など、子に関わる重要な判断であっても、親権者である親の判断が単独でも出来ていましたが、改正案では、父母が合意した場合や裁判所が子の利益になると判断したときは共同親権も可能となることから、日常的な行為や差し迫った事情が有る場合を除き、双方が協議することとなります。

 離婚に至る原因の多くが夫によるDVやハラスメントであるという現実から、妻の多くは子の親権を主張し、認められた場合、夫の接見を極力排除したがるのが通例で、これまで、子に関わる判断は親権者が単独で出来ましたが、これから裁判所によって共同親権が認められた場合、子に関わる社会的判断は双方の協議に依ることになります。

 しかし、離婚はお互いの主張が夫婦間で理解に至らず、さらには経済的な問題や「家」という精神的な事も含め様々な事が原因となって、一緒に暮らすことが困難な場合に起こる問題ですから、子に関わる社会的行為の判断もまた異なる場合が想定され、子に不利益が生じる懸念が残されています。

 その懸念が大きい事から、今回の改正案には、修正案として、「①共同親権となった父母について、進学などを巡り意見が割れたが、判断を待つ時間が無い時などは同居する親だけで判断して良いと国が周知する。②不本意な合意なら、単独親権に変えられる法的措置を講じる。」という項目が付け加えられました。

 しかし、どのような時に一方の親だけで親権を行使できるのかは曖昧のままですし、共同親権の父母でも、日常の行為や「急迫の事情」がどのようなことなのか具体的に明文化されておらず、例示されただけとなっています。

 法務省は、日常の行為として「食事やワクチン接種、習い事の選択」などを例示し、急迫の解釈は、入学発表直後の入学手続きや緊急手術など、協議や裁判をしている時間が無いケースと答弁しましたが、それではそれ以外の行為の場合はどのようになるのかが、明らかでは無く問題を残したままとなっています。

 多くの問題を含んでいる「共同親権」を、短い審議の中で決定することには当初から無理があった訳ですし、親権という親の問題を前面に出していますが、一番中心において考えなければならないのは、「子の幸せ」と言うことではないでしょうか。

 その観点が欠けてしまった法案は、今後も問題を引きずる事になると思います。


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