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人手不足と公務(ブログ3911)

  • 2025年05月06日

 少子化の影響だけではないかも知れませんが、どの業種も人手不足に悩んでいます。

 公務員もご多分に漏れず、近年は慢性的な定数不足となっています。

 私が函館市の環境部に奉職した時は、民間は高度成長時代で公務員の給与と民間の給与には雲泥の差が有りました。無論、私が市役所に入る事を聞いた友人達は、「何が悲しくて市役所なんかに行くのか」と話し、「悪い事は言わないから、民間にはなんぼでも仕事がある。」と気の毒そうに私の顔を見るのでした。

 私は、親が商売をしていたのを見て育ちました。毎日のように「日銭」が入り、裕福とはほど遠いけれど、日々の食べるものには苦労をした事がありません。しかし、商売ですから浮き沈みもあり、そんな両親を見ていたら、いつの間にか、「給料が安くても細く長く、役所は潰れることが無い。」と自分に言い聞かせ公務員の道を選びました。

 就職した函館市環境部の仕事は。ゴミとし尿の収集と処理という、どちらかというと皆から嫌われる仕事でしたが、仲間と共に楽しく毎日の仕事をしてきました。

 その内、バブルが崩壊し、民間企業は不景気となってしまい失業者がどんどん増え、先ほどの友人達も失業という波にもまれてしまい、私に「ゴミでもし尿でも構わないから役所で雇ってくれないものか。何とかお願いします。」と頭を下げてきます。無論、学卒時のご両親も、お願いに来ますが、残念ながら私に採用の権限はありませんが、履歴書を預かって上司に伝えることは出来ますので、そのようにして紹介してきました。当時もゴミやし尿の収集は下層の仕事とみられていましたから、あまり就職する方もいないので、私の紹介で何人かの方は就職出来、そして、皆さん無事に定年退職をされていきました。

 さて、今は、あの昔の時のように企業は人手不足です。同じく国家公務員から都道府県職員、市町村職員まで、本来の行政を進めるために必要な定数が満たされておりません。

 先般も新聞に掲載されていましたが、函館市を例に取れば、函館市を受験し、合格通知を受け取った方の53%が辞退して、他の業種に就職します。毎年のようにこのような事が続き、受験会場を全国に広げたり、民間で働いている方を中途採用したり、綱渡りで職員採用を行い、行政の維持をしています。

 最近は「働き方改革」という事もあり、売り手市場で、道職員などは「転勤がある」事が敬遠されますし、先ほども触れましたが定数に満たない職場では「時間外勤務(残業)」を行わなければ行政に支障を来すことになりますが、近年の職員は定時始業、定時就業、を強く求め、さらに育児休業や有給休暇の取得は当然の様に求めます。いや、悪い事ではありませんが、その分のしわ寄せは他の職員が被ることになります。それはお互い様ですが、最初から定数が足りない職場ですから、解決の糸口が見つかりません。さらに、行政はスクラップ&ビルド、つまり必要の無くなった業務は廃止して新たな行政需要にエネルギーを割くのが基本ですが、近年は、一度行政として手がけた業務は、なかなか廃止が出来ず、更に新しい行政需要に対処しなければなりません。人口の少ない市や町村などでは一人の職員が複数の業務を担当することも当然の様になっています。

 このまま、公務員のなり手が減少すれば、市町村固有の業務も民間に委託しなければならず、そこには行政の責任や関わりが薄くなってしまいます。

 職員が集まらないのは国家公務員や一般行政職だけでは無く、福祉専門職員、建築士、保育士や教師、さらに、消防士、警察官、自衛隊員などの定員も、今後はどんどん少なくなっていくでしょう。そうなれば、行政は縮小せざるを得なくなりますし、質を維持していくことも出来なくなります。仕事は、楽しいだけでは無く、我慢を強いられる事もあります。組織の人間関係にも配慮しなければなりません。そして仕事上のスクルアップも求められます。自由に休暇も取れないかも知れません。しかし、それが仕事ですし、社会は若い力を求めています。

 人事担当者と職員が様々なコミュニケーションを日常的の取れる様、お互いが努力して、社会を構築してほしいものだと思います。


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