マフィアのボス(ブログ3850)
- 2025年03月01日
トランプ氏とゼレンスキー氏の会談が行われましたが、この会談で、トランプ氏とバンス副大統領がゼレンスキー氏に対し「無礼だ」と声を荒げたそうです。
ゼレンスキー氏が、この会談で「トランプ氏の交渉姿勢がロシアに寄りすぎている」という懸念を示したことに強く反発し、トランプ氏は「無礼だ。あなたは第三次世界大戦を賭けてギャンブルしている」、バンス氏は「大統領執務室でアメリカメディアに自分の立場を訴えるとは無礼だ」と強く非難したことが伝えられました。
しかし、どうでしょうか。この会談は、ゼレンスキー氏が自国の運命を背にトランプ氏と交渉する場として臨んだのであり、トランプ氏のご機嫌を伺うためでは無いのです。
一方のトランプ氏とバンス副大統領は、和平を保障すること無く、ウクライナからの代償を求める場として、会談を利用しようとしていました。
この場で「無礼だ」との発言は、米国の上から目線が表れた言葉だと思います。
米国ニューヨークタイムズは、今回の会談で予定されている鉱物資源の協定について、「米国はかつて世界の警察と見なされていたが、今や保護金を巻き上げるマフィアのボスのようだ」と指摘し、米外交専門誌のフォーリン・ポリシーも今回の協定を「前例の無い搾取だ」と批判しています。
また、ウクライナのキーウ・インディペンデントは、トランプ氏のやり方を「盗みの芸術」、「必須鉱物資源の要求を受け入れることが安全保障支援の条件なら、米国はロシアの傭兵集団ワグネル・グループと変わらない」と批判しました。
トランプ氏は、これまで米国がウクライナに支援した額は5,000億ドル(約75兆2,878億円)だとし、その額に見合った鉱物資源を要求していました。
しかし、米国務省による発表では、米国がウクライナに提供した軍事支援の規模は660億ドル(約9兆9,405億円)であり、非軍事支援540億ドル(約8兆1,361億円)を加えても、1,200億ドル(約18兆804億円)規模で、1,330億ドル(約20兆9,431億円)を支援した欧州よりも少なく、トランプ氏が、ウクライナに4倍以上の金額をふっかけていたことになります。
今後、休戦になったとしても国内の復興が待ち受けているウクライナに対し、交渉(ディール)とはいえ、まさしくマフィアのボスも顔負けの要求です。日本で言えば、「反社会的組織の親分」と言うことでしょうか。このことにより、米国の信頼は地に落ちることでしょう。誰も、米国と付き合わないようになり、不動産ビジネスを外交に持ち込んだ米国は孤立を深めることになるでしょう。