TSMCは大丈夫か(ブログ4135)
- 2025年12月26日
12月中旬に入って、熊本で建設中のTSMC第2工場の工事に変化が起きました。
突然重機が撤退し、工事が中止になったとの観測が流れたのです。
第2工場の工事に変化が起きているのであれば、政府は国民にその理由を説明しなければなりません。ナゼならば、台湾の半導体メーカーを誘致し、国策として巨額の援助が行われているプロジェクトであり、その援助は私たちの税金だということだからです。
TSMCの堀田祐一社長は12月19日、第2工場について「建設は継続的に進行している」と述べましたが、これを丸呑みすることにはならないのは、工事が縮小しているのかについて何も説明が無いからです。
この大きな変化について、少なくとも政府はその状況について把握していなければなりません。把握していなければ、巨額の援助を行っておきながら監理不足のそしりを免れません。また、巨額の援助を受けているTSMCはその計画変更を企業の一存で出来る訳がなく、政府との協議は必要不可欠では無いのでしょうか。
そう考えると、工事の計画変更があり縮小されたのは、必ずしも良いことが根底にあるとは考えられません。TSMCは、より高度な製品への変更の為と言っていてるようですが、良いことであれば、TSMCや政府が率先して発表しているでしょう。しかし、そのような発表はなされていません。
第1工場は24年12月から生産を始めました。私たち道議会もこの工場に視察に行き(稼働前)、内部には入れませんでしたが、外部からその巨大な工場を視察しました。
その周辺に関連企業が張り付き、1大プロジェクトの壮大さを目の当たりにし、その後、半導体への人材を送り込むことで新たな学部を創設した九州大学も視察しました。
TSMCは24年12月からは、車載用の半導体を製造していました。しかし、電気自動車の需要が期待したほど増えなく、専門家は半導体の売り上げが思わしくないのではという見方もありますが、一方この工場では、更なる高精度の3ナノ、2ナノの半導体を生産し、アップルやエヌビデア等に販売され、スマートフォンやデーターセンター(DC)からの引き合いも多いとも言われています。どちらにしても、ナゼ工事が縮小されたのかは、明らかにすべきです。
TSMCは今後、ラピダスの生産と共同作業を行うとも言われています。これが事実であれば、ラピダスは27年に2ナノの半導体の量産を行う予定であり、その後は更に高細度1.4ナノの半導体製造に着手する計画で、その製造技術を習得するためのものとも考えられます。
さて、昨日はシンギュラリティのことを掲載しました。最先端の半導体の需要を支えているのはAIである事は間違いありませんが、AIの技術の延長線上で、今後も半導体の進化や製造が右肩上がりに成長するかどうかは未知数ということも考えられます。
AIの世界では「2026年問題」と言われている問題があるそうで、生成AIが、その発展に必要な学習のためのデーターを全て読み尽くしてしまい、したがってそれ以上の進化が止まってしまうのではないかという懸念が指摘されているからです。
さて、ラピダスは円盤型のシリコンウェハーを方形型にする技術を取得したようです。様々な技術が高度化してきますが、米国などと違い、日本の半導体製造には、政府が大きく関与しています。それは半導体のサプライチェーンが脆弱な日本の取って必要なことかも知れませんが、プロジェクトが壮大になればなるほど、国民への説明は必要になってくるのでは無いでしょうか。





