防衛相の感覚は(ブログ4045)
- 2025年09月25日
沖縄県宮古島で行う予定だった米軍との共同訓練が、地元の市民団体の抗議によって一部中止したことについて、中谷防衛相が「非常に行きすぎた行為、で訓練内容の一部の変更を余儀なくされた」と述べ、市民団体の活動を牽制する発言をしたことは、沖縄県民の思いを踏みにじる発言ではないかと思います。
沖縄は、日本の米軍基地の7割以上が集中しており、日常的に訓練が行われていますし、最近は台湾までの「琉球弧(点在する島嶼部)」に次から次と自衛隊基地を整備して米軍との訓練を当然のように行っています。
それは時に沖縄県民の生活環境を無視してまでも行われており、当然のごとく住民は怒りの声を上げ、そして行動を起こします。中谷氏は抗議行動が気に入らないなしく「自衛隊への過度な抗議活動、妨害行為が続いている」と指摘しましたが、平穏な住民生活を考慮すること無く、全てやりたい放題の米軍と自衛隊へ向けられた怒りを理解しようという感覚が無いことに憤りを感じます。
先般、「宝島」という映画を見てきました。
戦後の米国施政下にある沖縄の物語で、沖縄の女性達を金と暴力で好き放題にし、やがて一般人の女性も暴行されて殺される事件がありましたが、犯人は米国のMPに保護され、事件はうやむやに。また、酔っ払い運転で人をひき殺しても、MPに保護される。住民達は怒りは膨らむばかり。やがて、米軍機が小学校に墜落して200人以上の死傷者が出たときも、米軍は「故障だったので不可抗力だ」で終わり。
72年に沖縄返還になっても沖縄の状況は何も変わらず、ひき逃げ事故が相次ぎました。
そんな折、繁華街で事故を起こした兵隊を周りにいた住民達が運転席から引きずり出しましたが、そのときもMPが。住民達はそれにも抵抗して米兵の車を横転させ、MPの車も横転した後にガソリンに引火き、その頃には、住民の数も2,000人を超えて大挙して米軍基地に乱入。
一方、以前から、米軍基地に忍び込んで物資を盗んで貧しい住民に分け与えていた若者達とそのリーダーが、米軍と真っ向から向かい合うには、こちらも武器を持たなければならないと、仲間を連れて米軍基地から「VX毒ガス」を盗みましたが、その後、リーダーが忽然と消えてしまいました。年月が過ぎても沖縄の状態は何も変わらず、消えたリーダーの弟が、兄の思いを遂げようと仲間と共にVXガスを持って、米軍基地へ。当時仲間だった一人が今は刑事となり、その行動を阻止するために命を張る行動を。
3時間15分ほどの長編作品ですが、是非多くの方にこの映画を見て欲しいと思います。
そして現代、今でも沖縄では地位協定の下、米兵の事件や事故は何も変わっておらず、お咎め無し。積年の恨みは沖縄ウチナンチュウの身体にきっちり染みついています。
国家権力であり実力部隊である自衛隊の責任者である防衛相が、そんな沖縄のことを意にも介せず、抗議行動という表現の自由を踏みにじる発言は現に慎むべきだと思います。
責任者であれば、住民と真摯に向き合い、話し合いで妥協点を見つけるのがその仕事では無いでしょうか。