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選択制夫婦別姓の審議(ブログ3918)

  • 2025年05月14日

 選択制夫婦別姓制度の国会審議が滞っています。

 問題は、与党自民党内での議論が煮詰まっていないことが原因で、政府は今国会での法案を見送る判断をしました。

 石破氏は、「いつまでも先延ばしにしていい問題だとは考えていない。(党内)議論の頻度を上げ、熟度を高める」と話し、党内に「氏制度の在り方に関する検討作業チーム(WT)」を設置して動きを始めたものの、フルオープンでの協議はいつのまにか非公開となり、その協議も推進派と慎重派で、議論はまったくの平行線、結論を導き出す方向にはなっていません。

 一方の野党も、22年6月には足並みを揃えていましたが、今は野党バラバラの案を主張しており、これも自民党の事を言える状況には無いというのが現状です。

▼自民党の反対議員は、<別姓になれば家族の絆が失われ、子どもが不幸になる。兄弟(姉妹)がそれぞれ別の性になった場合の問題点が解決していない、「同一戸籍同一氏」の戸籍制度の大きな転換となり問題が多い、導入された場合100以上の関連法の改正が必要だ>などと、家父長を中心とした家制度に固執しており、導入しないための理由を並べ立て、思考が停止したままとなっています。

▼立憲民主党の改正案は、<①夫婦の姓については、結婚するときに夫又は妻のどちらかの姓に統一するか、別々の姓にするか選択する。②子どもの姓については、夫婦が別姓を選択する場合には結婚の時にどちらかにすることを決め、兄弟(姉妹)で姓が異ならないようにする>というもので、これは法務大臣の諮問機関である法制審議会が1996年に答申した案を踏まえた内容です。

▼維新の会は、<選択的夫婦別姓の導入では無く、戸籍に旧姓を記載するなど、結婚後も旧姓使を通称として利用できる方向で検討>としていますが、これは国内だけで通用するもので、国際的には必ずしも適切では無い様な気がします。

▼国民民主党は<立憲とは別に、制度導入に向けた法案を今国会に提出する方向で検討>としていますが、これまでの国民民主のスタンスをみれば、玉木代表の立憲に対する対抗心だけのような気もします。

▼公明党は<他の党の法案が出そろったところで、国会でどのような議論をしていくか判断したい>とは、自らがリードしていくのでは無く、後出しじゃんけんで有利な方に乗っかるということなのでしょうか。

 田中優子法政大学名誉教授は、<①夫婦同姓の定めがあるのは世界中日本だけで、しかもそのために海外と行き来する女性をはじめとして、旧姓使用では済まされない問題がいくつも起きている。パスポート提示やビザの取得、クレジットカードや銀行口座や健康保険証の提示等の困難性がある。②また、同性の縛りがあるために事実婚をしている人は多くなっている。別姓が制度されれば法律婚が増えると思われる。

 ③日本での夫婦同性制度が成立したのは1898年(明示31年)で、江戸時代まで夫婦別姓、日本の歴史の中でたかだか100年あまり、外来の夫婦同姓制度を「日本の伝統」というのは余程の無知か、嘘を言っているのどちらかだ。

 ④別姓になれば家族の絆が失われ、子どもが不幸になると主張する方がいるが、それが真実なら、日本以外の全ての国で家族の絆が崩壊していて、子どもは皆不幸だという事になる。さらに江戸時代まで日本の家族は絆が無かったことになれば、私たちはいったい誰の子孫なのか。⑤人間の絆は姓から出現するものではない。不幸な子どもにはそれなりの理由があろうが、それが事実婚や離婚・再婚と因果関係で結ぶのであればそれをデーターで証明しなければならない。日本憲法は「平等」と「個人の尊重」から、「戸主制度」と「家制度」をは消滅、夫婦別姓を主張する議員は憲法遵守していないことになる。>と週刊金曜日のコラムに掲載しています。

 1996年から30年あまり経過しても結論を先延ばしする政府・自民党は、まさしく意図的な不作為を継続している確信犯では無いでしょうか。


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