誰が駆除(ブログ4088)
- 2025年11月06日
昨日のブログで、ヒグマのことを掲載しましたが、昨日、「北海道ヒグマ管理計画」を所管する環境生活委員会において、ヒグマの問題について何点か質問を行いました。
まず問題点として、住民がヒグマに遭遇すると、まず地元の行政や警察に連絡します。
連絡を受けた行政や警察は、情報を得てから現場に向かいますが、駆除が必要な場合は地元猟友会のハンターにも依頼して現場に向かいます。
現場に着いたら、熊を駆除するか追い払うかを決めるのは行政で、駆除と判断すれば、警察官にその旨を伝え、ハンターは警察官から射撃の指示を受け無ければ発砲できません。 獲物の背後に人家が無いか、跳弾(跳ね返った銃弾)が人家に及ばないか等を確認、警察官とそれらを確認してから熊を撃つことになります。つまり、今の制度では熊を撃つまでの手続きに時間がかかるという欠点があるのです。これでは熊が逃げてしまいます。
これを簡略化するために、行政の職員がハンターの免許と銃を所持するという、ガバメントハンターが必要性ということになり、関係閣僚会議でもそのことについて人員と予算を配分する事になりましたが、市町村にハンターの資格と銃を保持している職員がいるとは限りません。とりわけ、小さな自治体では肝心の職員が少なすぎて、いくつもの業務を兼務しているのが実態で、ガバメントハンターに充てる人員がそもそもいないのです。
また、北海道内の市町村でもガバメントハンターとなれる職員はごく僅かですから、これから職員にこれらの資格を取得してガバメントハンターになってもらうにはかなりの時間を要することになりますし、希望者がいないことも想定されます。
また、自衛隊は国防がその任務ということから、自衛隊による熊の駆除は出来ず、ハンターのお手伝いとしてハンターを現場に運ぶ、箱罠を移動する、駆除した熊を運ぶなどの側面的な支援しかできません。
一方、警察による駆除が警察庁で検討されていますが、警察がライフル銃で熊を駆除するには、解決しなければならない課題がいくつかあります。
自衛隊は国防が任務であるように、警察は犯罪対策と防止が任務です。従って動物を駆除する訓練は行われておらず、熊に対する知識もありません。
さらに、警察組織の中でライフルを使用できるのはSAT=狙撃班と言うことになります。この銃器対策部隊は全国で約2,100人で、犯人を狙撃することを主たる任務としていますが、その任務の特殊性から、私が銃器対策部隊ですと言うことが知られないようにしなければならず、素顔を出すことができません。
つまり、目出し帽でもかぶらなければ顔がさらされることになります。
併せて、猟友会のハンター並の熊に対する知識が必要となってきますし、少なくても警察本部ごとに配置していなければ間に合わないことになります。
また、ハンターを育成することも大事ですが、講習会も猟友会が主催して会場まで確保しなければなりません。銃の免許取得の試験も大変厳しい内容で、これらをクリアーして銃を取得する場合でも、本人のアルコール歴、性格、家族構成、知人、思想なども警察によって調査され、問題ないと判断されて初めて銃を手にすることが出来ます。免許更新も3年に一度。幸い北海道はハンターを目指す方が増えていますが、全国的に見れば高齢化が進んでいます。ハンター育成にも時間が必要です。
また、1発で熊を仕留めるにはハンターの熟度を挙げなければなりませんが、射撃場が少なすぎて、山に狩猟に行かない限り銃を撃つことが無く、練度が上がらないなど、これらの状況から、現状の熊被害に対する即効性のある対応についてはかなり難しいと言うことになります。





