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見せかけの税収増(ブログ4062)

  • 2025年10月12日

 高市総裁が仮に総理になった場合、一番先に取り組まなければならないのは野党とのこの間の約束ごとである物価高騰対策です。

 1つはガソリン税の暫定税率の廃止で、もう1つは消費税を含めた減税という2つの大きな対策です。

 この財源について野党は、「税収が大幅に増収となっていることから、これを財源に充てる」と話し、減税で国民にはこれだけの恩恵があり、その穴埋めに税収のいくらをつぎ込み将来的には税収がこのようになりますという具体的な話は全く出ていません。

 与党は、「暫定税率も消費税もいったん廃止や減税をしてしまえば、これを元に戻す事は至難で出来なくなる。やれば、選挙で負けるほどのダメージを受ける事になる一方、恒久的に税収が減収になる」ことを心配しています。

 果たして何処で折り合うのか、注目しなければなりませんが、

 ニューズウィーク日本版の記事を抜粋すれば <政府の税収が増えているのは確かだが、それはインフレで物価が上がっている事が主要因で、あくまでも表面上の現象である。

 例えば、消費税は、商品の販売価格に対して10%課税されているので、100円の商品が150円に上がれば、消費税は10円から15円に増える。

 法人税も同じメカニズムが働き、売り上げが1.5倍に増えれば、同じ利率だと企業の利益も増えるので、実質的な業績に変化がなくても、名目上の税収だけは増える。

 所得税も同様で、賃上げを行えば国民の所得が増えるので、その分だけ税収も増加する。

 しかしながら物価が上がっていると言うことは、政府や自治体などが購入する物品や建設費用、公務員の給与、債務の利払い費も増加すると言うことになる。

 つまり、インフレの進行による税収増はあくまで見かけ上の変化に過ぎない。

 また、日本の所得税は累進制となっているので、インフレが進んで物価や賃金が例えば2倍となり、500万円の年収が1,000万円になれば自動的に高額所得者の税率が適用されることなるが、物価が2倍になっているので、500万円の時と生活実態は何も変わらないが、所得税の徴収額だけが増えていく。つまり、今より苦しい生活状況となってしまう。

 併せて、地方自治体にも大きな影響が出てくるのは、先ほどの資機材・人件費などだけではなく、大都市のように税収が増える自治体と人口減少で税収が増えない自治体との格差が大きくなる。この差を埋めるために「地方交付税制度」が有るが、この制度も経済が成長しない中での物価上昇を想定していないため自治体間格差が大きくなる。

 結局のところ、個人であれ、自治体であれインフレは格差を限りなく拡大させる作用をもつ。>と指摘しています。

 さて、暫定税率廃止や消費税減税を今後進める場合は、このようなことをどのように見直すのかという課題に「解」を出さなければなりません。

 個人では所得税の累進課税の見直し、法人税の税率の見直し、交付税のあり方を再検討、そして、まずはインフレ経済からの脱却です。これをせずに見せかけだけの税収増に惑わされて減税だけが先行すれば、実質的に国民は政府により、首を緩やかに締められて行くと言うことになります。


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