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覇権への野心

  • 2020年07月10日

 中国による「香港国家安全維持法(国安法)」は、その施行がはじまり具体的な社会統制政治が始まりました。

 早速、あんまり色のついていない子供の教育から手をつけ、小さいうち、色に染まりやすいうちから学生・生徒への洗脳に着手し始めるのは、日本の歴史にもあったように自らの権力を維持していこうとする者の常套手段のように思えます。

 まず、教育局が始めたのは学校図書の排斥です。

 道新や新聞赤旗によりますと、中国共産党の政権に批判的な、また民主的な書籍や教材を撤去するように各学校に指示、さらに中国政府への抗議行動のテーマソングである「香港に栄光あれ」など、政治的メッセージ性の強い歌を歌うこと、演奏すること、放送することも禁止、学校の内外で「人間の鎖」行動を行う事も政治的アピールの表現で、他の生徒を扇動することにつながることから禁止としました。

 併せて、幼稚園と特殊学校を含む香港の全学校に通告を発し、職員と生徒に国安法の遵守を認識・意識させるように通告し、教育現場への圧力を強めています。

 今後は、教育を通じた強制的な思想介入を行うことになるかもしれません。

 社会生活では、国安法に違反する恐れがあるだけで令状無しの捜査が可能となり、中国本土同様にインターネット情報の削除やアクセス制限も可能になります。

 新疆ウイグル自治区の100万人を超えるウイグル人を強制収容し、洗脳するキャンプがあること、実際にそのキャンプで行われている内容が暴露されたことで、米国は人権問題として非難を続けていますが、中国は内政干渉であると意に介していません。

 そして静かに、しかし着実に香港の一国二制度は一国一制度へとアクセルを大きく踏み込み始めました。

 ネットのNewSphereによりますと、<中国による香港への介入が、自由主義国との亀裂を深めている事は周知の通りで、それらは東・南シナ海、台湾、中印国境を巡る争いにも大きく影響を及ぼしている。

 さらに、スイス・ジュネーブで6月30日に開かれた「第44回国連人権理事会」では、これまで中国がしたたかに進めてきたもう一つの世界が見えてくる。

 この会議では国安法に関する審議が行われたが、反対したのは日本をはじめオーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、デンマーク、フランス、アイルランド、ドイツ、マーシャ諸島、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、パラオ、スウェーデン、スイス、イギリスなど27ヶ国で、ちなみにアメリカはトランプ政権になってから道理事会から離脱している。

 一方、賛成国は反対国より2倍多い。賛成に回ったのは、中国をはじめバーレーン、ベラルーシ、カンボジア、カメルーン、中央アフリカ、キューバ、ドミニカ、エジプト、赤道ギニア、イラン、イラク、クウェート、ラオス、モーリタニア、モロッコ、モザンビーク、ミャンマー、ネパール、北朝鮮、オマーン、パキスタン、パプアニューギニア、サウジアラビア、ソマリア、スリランカ、スーダン、シリア、UAE、ベネズエラ、ザンビア、ジンバブエなどの53ヶ国。

 これらの国は、中国と同じような独裁的、もしくは権威主義的で、イスラム過激派のような反政府勢力の問題を抱えている国々であり、新疆ウイグル自治区を巡る中国情勢と酷似している。体制を維持するため、市民への統制を進め、反政府組織には厳しい対応をとるという共通点がある。

 それ以上に現実的な背景として「一帯一路」による莫大な資金援助があり、経済的パイプから北京の顔しか見ていないという背景がある。>と分析しています。

 これまで、中国が財政の不安定な国々にチャイナマネーを注ぎ込み、適当では無いかも知れませんが懐柔してきた世界戦略が、徐々にその成果を現し始めたのが、この人権会議でも表出しました。

 大国・中国が行う香港の本土化を防ぐのは、もはや自由主義国勢力では難しくなってしまうのでしょうか。そして、中国は世界の覇権を握ってしまうのでしょうか。


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