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砂が消滅

  • 2020年07月25日

以前、プラスチックゴミの大量廃棄問題に触れた7月5日のブログ「限りない欲望の末」の中に、「中国の3年分のセメント使用量はアメリカの101年分を超えている」事を掲載しましたが、これは、プレジデント・オンラインに掲載されていた内容を引用したもので、今日は少し詳しくお伝えします。

中国が2011年~2013年の3年間で生産したセメントは約66億トン、これは、1901年~2000年の101年間にアメリカで生産した約45億トンを優に超える量となっています。

基礎知識として、建築物に使用されるコンクリートは、セメント1:水1.5~1.8:細骨材(砂)3:粗骨材(砂利)3の割合に、混和剤を混入して出来ています。

コンクリートの成分の約3割強は砂であり、同じく3割強が砂利となっています。

さて、改めて、世界各国におけるコンクリート工業で消費される年間の砂の量を先進国全体:中国で比較しますと、

  中  国              先進国全体

 2000年    32億5,000万トン:47億1,300万トン

 2010年    39億トン      :100億7,500万トン

 2020年(推定)45億5,000万トン:117億トン

 となっています。

 ここでは、砂のことだけ触れますが、砂の採掘は主に海岸の砂が用いられます。

 これだけで、沿岸部の海岸から砂が大量に消滅していることが判りますが、既に世界の75%~90%の砂浜が縮小している事が明らかになっているとのことです。

 海岸や沿岸部から砂が消失するということは、魚の産卵場所が無くなることに繋がり、生態系の破壊が危惧されます。

 既に、インドネシアでは24の島が砂の採掘により地図上から姿を消してしまいました。

 インドネシアの砂の大部分はシンガポールに輸出され、人口が爆発的に増加するシンガポールの国土拡大のための埋め立てに使用されており、さらに今後も領土を拡大しようとしています。これは砂の消費の一つの例です。

 さて、中国に行けば都会の人口増は著しく、これを受け入れるための高層マンションが都市のあちこちに建てられている光景を目にしますが、その大部分は売却されずにその姿を晒しているだけのような気がします。

 高層マンションや高層ビルが、経済発展のシンボルのように受け止められているのか判りませんが、不必要な建築物に大量のコンクリートが使用され、その材料である砂が世界の海岸から姿を消し、生態系を破壊するという構図に繋がっています。

 発展途上国や更新国もやがて都市化が進み、そのためのインフラ整備を求めることになるでしょう。そうなれば、資源はあっという間に底をついてしまいます。

 そして、これも不都合な現実の出来事なのです。


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