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看護職員不足と道の責務

  • 2008年11月25日

明日の保健福祉委員会に「道立衛生学院及び道立看護学院の在り方(素案)」が報告されます。
平成18年に策定された「民間開放推進計画」において「民間が担える施設については、廃止や民間移管を検討する」という方針に基づき見直しを行うもので、札幌にある道立衛生学院については、保健師養成課程を平成21年度末に、看護師養成課程全日制を22年度末、通信制を23年度末に、歯科衛生士養成課程を22年度末に、臨床検査技師養成課程を23年度末に、
助産師養成課程を23年度末にそれぞれ廃止するというものです。
また、旭川・江差・紋別・網走の各道立高等看護学院は自治体や医師会、看護師会などの地元関係者の意見を聴きながら必要な見直しを検討するというものです。
今、地域が抱える医療の問題は、医師不足だけではなく看護職員(看護師・助産師・保健師等)の不足も相まってることです。
厚労省の第6次看護職員需給見通し(平成18年から22年まで)によると道内においても22年度で需要数87,443名に対し、供給数は85,680名となり不足分が1,763名としておりますが、これは平成17年度の調査によるもので、ご存じのとおり18年度以降は医療報酬の改定、臨床研修制度改正、看護師配置基準の見直し、療養病床の削減などが行われ、全国で医師不足(とりわけ産婦人科医、小児科医が顕著)のために患者のたらい回しが横行していますし、不採算医療を担う病院の経営が逼迫してくるなどの医療環境の悪化が国民的な課題となっています。
看護師も、病棟への配置数が不足している結果、過酷な勤務実態などで離職率も年々高くなっており、助産師は母子相談、出産介助の充実の他、新たな助産師外来などで需要の増加が求められており、保健師も新たに特定検診・保健指導が導入された他、生活習慣病対策・高齢者保険対策なども求められ、需要の増加に対し求人数を確保できない状況も見られるなど、どの看護職も絶対数の不足が個々人の犠牲の上になりたっているなどの悪循環となっており、看護職員の確保が医療現場を維持していくための大きな要素となっています。
その中で、道民の医療に責任を負う道が道立病院に次いで看護職員養成機関を廃止・撤退し、民間に委ねるということを提案してきました。
民間に委ねても必要数が確保できれば良いですが、民間に移管したからには道の政策的判断を民間の養成機関に求めることが出来なくなるということであり、現下の医療状況を予測出来なかった中で策定された「民間開放推進計画」を錦の御旗として、自らが道民に対する医療の責任を放棄する道を歩み始めたことになると思います。


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