武器輸出の既成事実(ブログ4017)
- 2025年08月27日
防衛省は、ドイツと競合していたオーストラリア海軍の新型艦の共同開発の優先国に選ばれ、三菱重工業長崎造船所が中心となって建造する事になったようです。
新型艦は海上自衛隊が所属する「もがみ型護衛艦」で、更にオーストラリア側から求められる装備が追加されることも想定されます。そしてこれは、日本からオーストラリア海軍に向けた武器輸出と言う事になります。
もがみ型護衛艦は、最新型の護衛艦で海上自衛隊に所属する「もがみ」は、3,900トンの基準排水量を持ち、対空中戦・対水上戦、機雷戦、電子戦などの多用途な任務に対応可能で、特に従来の護衛艦にはない機雷戦能力を有し、UUV(自立型水中走行式無人機雷探知機)やUSV(機雷排除システム用無人機)といった無人機を搭載して機雷の捜査・処分を行う事ができ、また高いステルス性能や米空母機動部隊と伴走できるスピード、日米と相互運用できるシステムも完備し、輸出によってオーストラリア海軍とも連動させることも視野に入ります。
日本は戦後一貫して武器輸出に慎重な姿勢を長年堅持してきましたが、14年、安倍政権が防衛装備移転三原則なるものを導入し、さらに岸田政権が23年に三原則とその運用指針を改定して、英国やイタリアとも戦闘機の共同開発を行い第三国への輸出を解禁するために、殺傷能力があっても「共同開発」の形ならば閣議決定で可能という「抜け道」を作りました。
運用指針は、「救護、輸送、警戒、監視、掃海」の非戦闘5分野に限り輸出を認めるというものでしたが、自民党はこの歯止めを撤廃することを目論み、戦闘機・戦艦などで既成事実を積み上げようとしています。
無論、これは、武器輸出に関わる国内産業への貢献も狙ってのことですが、連立を組む公明党は「福祉と平和」を標榜していながら、暴走の歯止めの役割を果たしていません。
安倍政権も岸田政権も国会を通さずに閣議だけで憲法を形骸化させ、国民議論も得ずに武器輸出に手を染めています。規制の変更や輸出案件ごとに国会が関与する仕組みを作ることが与野党逆転の国会では求められます。