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東海第2原発判決

  • 2021年03月19日

 東海第2原発運転差し止め請求で、水戸地裁の前田英子裁判長は、「実現可能な避難計画や防災体制が整えられているというにはほど遠い。」として第2原発の運転を認めない判決を言い渡しました。

 詳しくは新聞などを読んでいただければ分かりますが、「原発事故を防ぐ第1~第5までの防護レベルの第1~第4までの防護では事故を防ぐ対応が難しい場合、最後の砦となる第5レベルの避難のための計画について、UPZ圏内(半径30Km圏内)の各自治体で実現可能な計画策定と実行できる体制が整っていなければならないが、避難対象圏内には約94万人が居住しており、現在、避難計画や体制が整えられているとは言えず、防災体制は不十分。」と、今回の差し止め請求は原発施設の安全性や多段階による深層防護にばかり視点を置かず、安全に避難が可能かどうかという、住民の生命や身体に深刻な被害を与える事になりかねない「人格権侵害」の危険性に着目したものとなっています。

 新しい着目点に依拠した判決は、画期的であり高く評価されるべきものと言えます。

 函館市が大間原発建設差し止め訴訟を行っているのも全く同じ理由であり、自治体にも自治体を守っていくという「人格権」があることを主張し、「仮に大間原発事故が発生した場合、北に避難する以外に方法は無く、そのための避難路は国道5号の旧道と縦貫自動車道が基幹道路として機能するが、圏域だけでも約30数万人が居住していることから実質避難は不可能であり、そのような物理的に実現不可能な避難計画は、策定する意味さえ無い。したがって、避難出来ない住民に過大な被害をもたらす大間原発は建設すべきでは無い。」と主張しています。

 函館市の訴訟は、建設主体の電源開発本社が置かれている東京地裁で行われていますが、今回の水戸地裁判決は、大間原発建設差し止め訴訟の判決にも大きな影響を持つものとして歓迎すべき判決であります。

 そして道は、泊原発に関わる避難計画を策定し、毎年のように避難訓練を行っていますが、まさしく、PAZ圏内(半径5km圏内)やUPZ圏内(半径30km圏内)の住民を速やかに避難させるには、必要なバスを確保するのもかなりの台数に及びますし、事故が冬期間の寒冷・積雪の場合など最悪の場合を想定すれば、かなり甘い計画と言わざるを得ません。

 全国の原発設置30km圏内をみても、どこも同じような問題を抱えています。

 判決のように、事故における最終段階の避難計画からも、原発を設置・稼働させる事が困難である事は自明の理では無いでしょうか。

 
 ※昨年11月4日、衆院予算委員会において、立憲民主党北海道8区の逢阪衆議が総理に対して「国内の原発は事故発生を前提としていないため実効性が担保された避難計画になっていないことを問題視し、これに対して菅氏は「しっかりした避難計画が作れない中で再稼働を進めることはない。」と断言したことも追記しておきます


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