背景

ブログ月別アーカイブ

ブログ

>>前のページへ戻る

札幌冬期五輪の判断

  • 2022年02月21日

 北京冬期五輪が終了しました。

 いや正確には、直後に開催されるパラリンピックが3月4日~13日までの日程ですから、オリ・パラとしての総合評価はその後になるでしょう。

 さて、中央集権国家(?)である中国は、北京冬期五輪開催経費について明らかにしないと思いますが、中国公式メディア・中国環球電視網(CGTN)は、北京冬期五輪の開催経費が39億ドル(約4,460億円)で、北京夏期五輪の68億円(約7,780億円)を大幅に下回るものとなり、習近平氏が求める「グリーン・安全・シンプル」に沿ったものだと発表しました。

 「習近平氏の求める方向性に沿ったもの」というのが何とも中国らしく、逆に、「到底そんな経費では収まらないが、国内・国外に対してのメンツさえ整えば、誰も文句は言わないし、言えない。」と感じてしまいます。

 米国のビジネス専門ウェブサイト「ビジネスインサイダー」1月30日の報道によると、<中国が北京冬期五輪に費やした経費は385億ドル(約4兆4,030億円)に達しており、公式発表の10倍近く、当初予算の16億ドルの実に24倍にもなるという。>と試算しています。

 さもありなん。 テレビに映る競技会場は全て人工雪で、競技コース以外には雪がまったくありません。ニュースではコースに何十台もの人工降雪機を並べ、大会前には昼夜を問わず人工雪を降らせていましたし、水や氷の運搬も含めて数百万ドルの費用がかかると言われています。

 それだけでは無く、北京市郊外のスキーやスノーボードの会場となる河北省崇礼(チョングリ)では、北京市内・五輪村・会場を結ぶ高速鉄道・高速道路建設のために数千人が土地を追われ、別の村でも300世帯が立ち退きさせられ、同じく高速鉄道や高速道路が作られたましたが、これらのインフラや農民の立ち退き等の補償も表には現れない経費です(中国らしく、国家のためなら人民の立ち退きは当然?)。

 大体、普段は雪の無い、従ってスキー場なんていうものは全く無い北京に冬季五輪を招致したのですから、1から競技場を作らなければなりません。

 開・閉会式は2008年北京夏期五輪に使用した北京国家体育場(鳥の巣)を使用し、国家水泳センターはプール上をリフォームしてカーリング会場にしましたが、その他の競技会場であるボブスレー・リュージュコース(約270億円)、アルペンスキー会場(約325億円)、ノルディック・スキージャンプ会場(約260億円)、その他にもスノーボードハーフパイプ会場、エアリアル会場、距離コース、バイアスロンコース、スピードスケート会場などの建設費用にどれだけの経費がつぎ込まれたのか、想像する事さえ出来ません。したがって「ビジネスインサイダー」の試算はフェイクとは言い切れないものがあります。

 日本も、都市開催と言っても国のメンツがかかっています。無様な形にはできません。

 札幌冬季五輪は経費を削減して2,800億円から3,000億円と試算していますが、
分散会場のニセコ町、帯広市は開催経費について負担しないことを、さらに長野市は、そり競技場の「スパイラル」の改修・再稼働費用も負担しないことになっています。

 札幌市は国に求めることも検討しますが、コスト負担費用も課題よなりそうです。

 何はともあれ、東京五輪を経験した国民はどう見ているのでしょうか。毎日新聞が19日に行った全国世論調査では、札幌の冬季五輪招致に「賛成」が45%、「反対」が34%で「どちらとも言えない」が21%でした。

 札幌市が近々行う道民への意向調査がどうなるのか、気がかりです。


Copyright(C)高橋とおる後援会 All Rights Reserved.