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新幹線現駅乗り入れ(ブログ3158)

  • 2023年03月06日

 先日、「函館圏の活性化と新幹線フォーラム」という会合が開かれました。

 フォーラムの主題は、在来線にもう1本レールを加えて、新幹線を現函館駅に乗り入れさせようというものです。

 これは、青函トンネルで行われている手法で、在来線の広軌1,067mmにもう1本1,435mmのレールを加えて新幹線が走行できるようにし、現函館駅に乗り入れさせるというものです。

 この内容についての可能性を問われれば、私も可能だろうと思います。

 ここで、これまでの経過を振り返ります。

 函館新幹線の誘致は、過去に青函同時開業を目指して函館市に関係団体で構成する期成会を発足、その誘致に全力を注ぎました。

 しかし、当時北海道までの誘致にはその政治力を結集しなければならず、函館だけではなくオール北海道としての力も必要になり、期成会は、札幌までの延伸を道に誘いかけ、その結果札幌市をも取り込んだオール北海道としての期成会が発足、その時から新幹線は函館まででは無く、道都札幌までという既成事実が出来上がってしまいました。

 新幹線は何よりスピードが命で、当時から新幹線か航空機かという時間と利便性、そして価格の比較が行われ、新幹線誘致では都心までのスピードが競われてきました。

 その結果、新函館駅(当時の仮称)は、札幌までの最短となる場所に設置することで決着がつき、新函館北斗駅の場所が決定。

 当時も、札幌延伸まで約20年かかることから、それまで現函館駅に乗り入れさせようと行政や函館の期成会も運動を強めました。

 その結果が、新幹線の車両が乗り入れられる100mホームを、高架では無く現1番ホームで改良したことと、駅前広場の再開発事業に函館市としての約100億円の資本投下をしたことでした。

 それが今の函館駅1番ホームと駅前広場です。

 しかし、新幹線が現函館駅に乗り入れるためには、木古内駅から現函館駅間の「R(半径)」つまりカーブがキツいため、新幹線の命であるスピードを犠牲にしなければならないこと。また、現函館駅に乗り入れた場合、上りの進行方向が逆になりスイッチバックが必要となること。現函館駅までは工事費として約1,000億円が必要となり、この経費は現函館駅を要望する地元が負担することとなり、当時の髙橋はるみ知事は「無い袖は振れない」と現駅乗り入れを断念した経過があります。

 今回の新幹線フォーラムでは、基調講演をした元日本鉄道公団関東支社長の吉川大三氏が「レールを1本加えるだけで、費用は約75億円で済む。高架で1,000億円も投じる必要は無い。北海道は後ろ向きだ、しゃあなイズム、いいんでないか文明、粘りッケの無い気質が影響している。」と話しました。

 衆議院選挙を断念し、今回の選挙で道議会議員渡島選挙区から自民党公認で立候補する前田一男氏は、「建設経費は、ふるさと納税を利用すれば良い。大きな山は動かせる。もう少し待ってくれ。」と呼応。

 市内のホテル経営者からは、「現駅乗り入れは夢ではないと感じた。国会議員、道議会議員、市議会議員、市役所は何をやっているのか。権力のある議員が声を上げて実現して欲しい。」と期待感を述べました。

 いきなり指名された大泉市長候補予定者も「私自身も公約に上げている。今後市役所でも重要インフラとしてその必要性やニーズを調査していく。敵も表れ、時間もかかるかもしれないが22世紀を生きる子どものために責任を果たしたい。」と感想を述べました。

 そして「このフォーラムの司会を担当したのが公明党から道議に立候補する予定の海野真樹氏です。公明党は国交大臣を長く担っていますから、今後は8区の公明党の公約となるのでしょうか。何れにしても、自公の道議会議員候補と市長候補が大勢の前で話したことですから、その責任は重いはずです。そのためには、次のことを現実的に説明して欲しいと思います。

 当時の期成会の考えも高架ではありませんでしたが、吉川氏が試算した75億円のイニシャルコスト(初期投資)は誰が負担するのでしょうか。ふるさと納税は固定財源では無く、風まかせの寄付ですし、北海道は地元・函館の要望として道の財政からの支出は行わないでしょう。

 そしてランニングコスト(維持経費)は誰が負担するのでしょうか。今でも、北海道新幹線は年間約100億円の赤字を生み出しています。新函館北斗駅~現函館駅間の赤字は誰がどのように負担するのでしょうか。

 加えて、新函館北斗駅~現函館駅まで約18km、はこだてライナーの走行時間は約20分。ここにミニ新幹線を投入するメリットは、スピードでは無いと思います。たった1・2分のために巨額の投資をする経営者はいないと思いますし、税金だから良いというのは無責任です。そうなれば、乗客が単に乗り換えを行わないで済むと言うことだけでしょうか。函館を訪れる観光客からの不平の声がそんなに大きいのでしょうか。

 当時、私も新幹線の現駅乗り入れには賛成でしたが、今は、はこだてライナーを廃止せず、存続することに全力を傾けたいと思います。


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