新幹線建設費増(ブログ4133)
- 2025年12月24日
北海道新幹線の札幌延伸が30年から38年以降に延期となり、沿線自治体、とりわけ新駅を建設する予定の自治体の街づくりに大きな影響を与えていますが、今度は、工期が延期になったことによって生じる建設費の増加が大きな問題となります。
これまで国内の様々な建設に関わる費用が、建築資材や人件費の高騰で、当初計画の1.5倍から2倍に膨らみ、計画を縮小するか断念するかなど揺れ動いていますが、その大きな揺れが北海道新幹線札幌延伸工事をも揺さぶっています。
新幹線の札幌延伸に関わる当初計画は、約1兆6,714億円で、この建設に関わる地元負担は総額約4,000億円と見込まれていました。その後資材高騰などの影響で23年には当初計画から6,445億円増の約2兆3,152億円に増額、そして、今回はさらに1兆2,000億円の追加となり、総工費は最大の3兆5,000億円と想定され、当初の2倍となっています。単純に考えると地元負担も2倍になるという懸念が目の前に広がります。
さらに、今後もこれ以上の建設費の増加が無いとは言えず、多難な工事となりそうです。
以前のブログでも掲載しましたが、当初、札幌延伸は、東京・札幌間における航空機の所要時間と、新幹線との所要時間の時間競争でした。
札幌駅から新幹線に乗車して東京駅着までの時間と、札幌駅から新千歳空港そして羽田空港から東京駅着までの所要時間、これを5時間切るか、そしてどちらが早く着くかが新幹線札幌延伸の大きな鍵となっていましたから、鉄道運輸施設整備機構は、新函館北斗駅から最短コースで札幌駅までのルートを選定しました。なるべく曲線をなくし直線でのルートです。その結果かどうか分かりませんが、羊蹄山の麓などトンネルを掘削するには不向きな地質であることなど事前の調査に甘さが合ったのかもしれません。
いずれにしても、沿線自治体は、開業の遅れで街づくりに支障を来すだけでは無く、地元負担がこれ以上増加する事になるのは自治体財政上、看過することが出来ません。
新幹線札幌延伸は、当初から札幌市民は航空機を利用する方が多いというアンケート結果、航空機利用の場合の運賃と、新幹線利用の場合の運賃比較、人口減少時代の交通機関としての必要性などが議論にになりましたが、30年冬季五輪札幌誘致の目玉として新幹線の札幌延伸が決定されました。
しかし今は、膨大な国費を投入し地元負担も増大する中、さらに、既存の道内JR路線の維持が可能かなどの問題もあり、それををさておいて、本当に新幹線が必要なのかという疑問を持つ方も札幌市以外では多いと思います。
一方、札幌駅では新幹線工事が着々と進み、駅東地区の開発や駅前地区の再開発もどんどん進んでいます。政府と建設機構の今後の対応次第と言う事になりますが、禍根を残さない判断が問われます。





