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文献調査は暗礁に(ブログ3529)

  • 2024年03月31日

 NUMOが寿都町・神恵内村で行った文献調査についての報告書を審議する経産省主催の「第2回地層処分技術作業部会(作業部会)」が開催されましたが、その中で、複数の委員が、報告書の不備を指摘、NUMOは内容を修正する方針を示しましたが、今後の審議はかなり難航しそうであることが新聞に掲載されました。

 安全性が懸念されるポイントとして、寿都町では、町内を通る白炭(しろすみ)断層などを含む活断層・黒松内低地断層帯の連動性、さらには、深さ30km付近に震源が分布する低周波地震と、地下水やマグマといった深部流体との関連性。

 神恵内村では、積丹半島の沖の海底活断層、258万年前以降に噴火した可能性がある熊追山(泊村)の火山活動、両自治体に共通する、不均質で強度の低い水冷破砕岩からなる岩盤などが、指摘されました。

 これらは、報告書においても曖昧な表現で記載されており、「概要調査」での判断に委ねています。

 つまり、NUMOは文献調査ではこれらの問題についての見解を避け、概要調査に先送りをする事によって、概要調査の必要性を引き出そうとしていたのではないか、とも思われます。

 また、作業部会が指摘した内容は、政府の「地震調査研究推進本部(推進本部)」の内容とも矛盾せず、共通した認識を示したものと思います。

 推進本部によると、<黒松内低地断層帯は、寿都町から渡島管内の長万部町まで12の断層が確認され、30年以内のマグニチュード(M)7.0以上の地震の発生率は最も高い「Sランク」であり、同断層帯を構成する寿都町の樽岸(たるきし)断層については、推進本部として活断層として取り扱う>と結論を出しています。

 政府の基準では、「明らかに処分場に向かない地区」として、活動が否定できない活断層や火山活動、浸食・隆起、鉱物資源の存在を挙げていることから、当該地は政府の基準に合致しない「不適地」と言うことになります。

 しかし、NUMOは、文献調査の評価基準上は活断層に当たらず、処分場建設を避けるべき場所とはしませんでした。

 この他にも作業部会の委員からは、岩盤の強度の確認の難しさや、低周波地震、断層活動は文献調査から概要調査、精密調査に進んでもクリアーにならない、つまり解明できないので、適地だと判断することにはならないことを示唆する意見も出されました。

 文献調査2年という期間を3年以上かけて提出された報告書には、まさしく「NUMOの苦悩」が表れており、「黒を白」とするためのはかない努力が見えてきます。

 この2ヶ所が不適地となれば、最終処分場建設は暗礁に乗り上げてしまいます。

 先般の福島民報の全国の知事へのアンケートでは、「都道府県を構成する自治体が除染廃棄物(汚染土など)の最終処分場に手を挙げた場合は賛成するか」という問いに、全ての都道府県の知事が賛成するとは答えませんでした。

 「道内に最終処分場」をと主張しているように思われる道議会保守系会派の方々は、これらの現実をどのように受け止めるのでしょうか。

 あくまでも国の方針だと強気に出るならば、「科学性特性マップ」で適正と判断された道内各沿岸地に選挙区がある保守系道議会議員の方々は、地域住民に最終処分場の文献調査を受け入れようと話されてみてはいかがでしょうか。


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