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文書のない関税交渉(ブログ3998)

  • 2025年08月08日

 米国による対日相互関税が、全ての品目への15%上乗せで、上限が15%では無いことが明らかになり、赤沢経済担当相が急遽渡米、ベセント財務長官さらにラトニック商務長官と会談しました。

 この会談で米側は、事務的なミスと弁解をしましたが、大統領令という公式文書に事務的なミスなど、日本では考えられません。それはどの国でも同じことで、外交交渉では言葉のニュアンスが違う事もあることから、細部にわたりこの文書はこう言う理解であると言うことを詳細に意思疎通し、確認のために文書を取り交わさなければなりません。

 今回の関税交渉では、赤沢氏が、「トランプの機嫌を損ねるかも知れないので、細部まで詰めなかった」とか、「文書には残さなかったがお互いの意思疎通は出来ている」いるなどと臨時国会で答弁していましたが、1日から発動した新たら関税が、これまでの関税に一律15%を上乗せした内容で実施されていることが明らかになりました。

 この問題では、米国が先ほどのように「事務的なミス」を認め、大統領令を手直しすることを約束しましたが、果たしてトランプが納得するかも明らかではありません。

 1日からこの間、日本の自動車メーカーは1日につき約30億円の減収となっています。

 4月から6月までの4半期の決算では、自動車大手7社の単純合計で約2兆7,000億円が減収となり、トヨタは1兆4,000億円、スバルは2,100億円、マツダは2,333億円がそれぞれ減収となりました。日産は基幹工場である追浜工場を閉鎖するなど、大きな影響を受けています。

 そして、今月からです。1週間で210億円、それが事務的ミスで片付けられる問題なのでしょうか。米国は、その分を賠償するとは言っていますが、多分それもうやむやになることでしょう。

 赤沢氏も石破氏も、15%はEUと日本だけだと「ぬか喜び」をしていましたが、米国は当初から、EUと日本を区別した取り扱いをとすることを意図していたと解釈すべきです。今回の交渉でも赤沢氏は文書を交換しませんでした。その言い訳を「文書を作ろうとすると互いが納得するまで文書を詰めることになる」と話し、外務省幹部も「話しを詰めれば詰めるほど米国は日本に要求してくる」と訳の分からない言い訳をしています。

 最初から互角に交渉することを避け、相手の顔色をみての交渉は、決して国益を守る交渉ではなかったと言うことです。

 臨時国会は終わりましたが、野党は協力して早急な臨時国会を開催を要求し、今回のトランプ関税についての詳細を明らかにすべきです。このような腰砕けの交渉では、今までもそしてこれからも日本は米国に「チュウチュウ」されつづけるでしょう。


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