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御用学者の論評か?

  • 2017年06月03日

 道新の「シリーズ論評:共謀罪を考える⑤」に掲載されていた中央大学名誉教授・椎橋隆幸氏のの記事を読んで、「成る程こういう人のことを御用学者と言うんだ」と改めて思いました。

 その中で、

・【犯罪を実行する前の計画段階から処罰出来るようにするため、野党は「既存の刑法体系を覆す」と批判するが、指摘は当たらない。

現在の刑法も「内乱罪」などの重大な犯罪について予備、陰謀、共謀を処罰出来る規定がある。したがって、現在の法体系と整合性は取れている。】と言われていますが、ご自身が触れているように、適用されているのは「重大な犯罪」であり、例外的な犯罪に限られており、既存の法体系の基本はあくまでも「既遂」に対するものとなっています。

・また、【テロ等準備罪を適用する対象を「組織的犯罪集団」に限定している。組織的犯罪集団は、重大な犯罪を行う目的で集まったメンバーが一定の指揮命令系統に従って行動する団体と規定されている。テロ集団や暴力団、薬物密輸組織などが該当し、労働組合や市民団体、一般市民に適用しないことは明らかだ】とも主張していますが、組織的犯罪集団の定義は曖昧であり、労働組合や市民団体であっても、捜査当局がある時に、良からぬ考えを持っていると判断すれば捜査対象になってきます。椎橋氏が言っていることは戦前の「治安維持法」の時に政府が言っていた「一般の人には関係ない」という言葉から一歩も出ておらず、説得力を持ちません。

・さらに【犯行現場の下見など、「実行準備行為」を行うことも成立要件に加えたから、乱用の歯止めになると評価できる】とされていますが、下見などの実行準備行為についても適用が曖昧で、俗に言われている「花見」でも政府は上手く説明できていません。これが評価に値するのでしょうか。

・併せて【「捜査機関の権限が拡大し、市民の監視に繋がる」との批判も有るが、これも当たらない。改正案は新たな罪を定めただけで、通信傍受拡大のような、捜査機関の権限を広げる手続き法の改正は含んでいない】とも述べていますが、この共謀罪は、複数の人の「合意そのものが犯罪」になるという本質を持っています。

 「合意」は心の中で思ったこと、いわゆる「内心の自由」を侵しかねないもので、その証拠を捜査するために通信傍受・盗聴・会話傍受・潜入捜査・密告は欠かせません。

 昨年12月に通信傍受法が改正され、通信傍受の対象拡大を行ったことは周知の事実ですし、椎橋氏が知らなかった事にはならないでしょう。

 その他にも疑問の多い椎橋氏の論評です。この方が有名大学の名誉教授とのことです。


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