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廃プラスチック(ブログ4010)

  • 2025年08月20日

 「廃プラスチック」が大きな廃棄物問題となり、一時は、プラスチック製品の削減がトレンドとなって、弁当容器も飲料カップもストローも紙製品に移行する風潮がありましたが、いつの間にかそれもどこかに行ってしまったようです。

 それは日本だけでは無く、世界中でも一時の取組となってしまい廃プラスチックは年々増加しています。

 先般、廃プラスチックの減容に取り組む国際条約の文案を協議する政府間パネルがスイス開かれました。

 しかし、今回の交渉においても条文案は合意できずに断念をしてしまいました。

 この政府間パネルでは、24年内に合意を目指すという22年の決議を具体的に進める為に協議を続けてきましたし、前会議を韓国で開催しましたが、残念ながら合意できず、今年はスイスでの開催となりましたが、またしても失敗に終わりました。

 結局23年から3回行われましたが、今回も生産段階からの規制などを巡って溝が埋まりませんでした。

 欧州や、漂着ゴミが大きな問題となっている島嶼国が、生産量と消費量の国際的な削減目標の設定など強い規制を求めた一方、産油国や米国は生産規制が自国経済に悪影響を及ぼすとして反対し、廃棄物対策を強化することを求めました。

 政府間パネルは、全会一致が原則となるために、どこかで妥協点を見いださなければ前には進まず、日本は中立的な立場で調整役を務めたようですが、功を奏するには至りませんでした。今回は、トランプ政権になったことから米国が反対にまわり、多国間の調整がより難しくなってしまったのも大きな要因となりました。

 地球の危機全ての関して、米国そしてトランプは我関せずで経済という名の「金」が全ての基準となっています。

 今回の会議では、期間を延長して修正案を示し、その前文で「プラスチックの生産と消費は廃棄物の管理能力を超え、地球規模の対応が求められている」とその必要性を強調しましたが、認められませんでした。

 以前にもブログで紹介しましたが、1950年に200万トンだった生産量は2023年には約4億トン、2050年には約8億トンに達することが中国・清華大の研究でも明らかですし、海洋流出では既に海中の魚類の総重量を超えるという試算もあります。

 プラスチックが微細化した「マイクロプラスチック」は、米国の大学の調査では既に米国内で出回っているサケ、エビなど6種類から検出されており、食物連鎖で人体にも取り入れられています。ハワイ大では、妊婦の胎盤にもマイクロプラスチックが検出されたことが発表されています。

 便利さと経済至上主義だけを求めた人類は、その仕返しに多くの化学物質を自らの体内に蓄積させるだけでは無く、未来の子ども達にもその影響を与え続けています。

 次の政府間パネルでは、各国が自国の立場を超えて環境破壊に歯止めをかける結論に達して欲しいと思います。


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