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君死にたもうことなかれ(ブログ3379)

  • 2023年10月30日

 先日、在日の歌手「李政美(イ・ジョンミ)さん」のコンサートに行ってきました。

 アリランを含めて朝鮮の音楽、そして沖縄への鎮魂歌、平和を願う曲など、とても心に染み入るコンサートでした。

 その中で、彼女が与謝野晶子の「君死にたもふことなかれ(旅順の攻囲軍にある弟宗七を歎きて)の詩に彼女が曲を重ねた作品が演奏されました。

 まさしく、今のウクライナやガザの風景を意識した選曲だったと思いますが、聞いていて心が震えるのを覚えました。

 皆さんが良く知っている詩ですが、今から119年前の1904年、日露戦争で旅順の攻囲軍の中にいた弟に生きて帰ることを呼びかける内容です。

 再掲します。

<ああ、弟よ、君を泣く 君死にたもうことなかれ 末(末っ子)に生まれし君なれば

 親のなさけは勝りしも 親は刃をにぎらせて 人を殺せと教えしや

 人を殺して死ねよとて 廿四(にじゅうし)までを育てしや

 

 堺の街のあきびと(商人)の 老舗を誇るあるじにて 親の名を継ぐ君なれば

 君死にたもうことなかれ 旅順の城はほろぶとも ほろびずとても何事ぞ

 君は知らじな あきびとの家の習い(教え)に無きことを

 

 君死にたもうことなかれ すめらみこと(天皇陛下)は戦いに 

 おほみづから(御自ら)出でまさね 互に人の血を流し 獣の道に死ねよとは

 死ぬるを人の誉れとは おほみこころ(御心)の深ければ もとより如何で思されん

 

 ああ、君よ、戦いに 君死にたもうことなかれ 過ぎにし秋を父君に

 おくれたまへる(先立たれた)母君は 歎きの中にいたましく 我子を召され家を守り

 安しと聞ける大御代も 母の白髪は勝りゆく

 

 暖簾のかげに伏して泣く あえかに(華奢で美しく)若き新妻を 君忘るるや思えるや

 十月も添はで別れたる 少女(おとめ)ごころを思ひ見よ この世ひとりの君ならで

 ああまた誰を頼むべき 君死にたもうことなかれ>

 

 戦いは何も生まず、失うことだらけです。

 イスラエルもハマスも互いに「正義」のために闘っていると主張します。そしてロシアもウクライナも。

 その正義が、殺し合いを求めます。

 しかし、それは正義ではありません。正義とは人の道にかなって正しいことです。

 政治的抑圧や軍事的暴力的対立と抗争などの問題を告発し、その解決を求めるための人道的人類的課題を明らかにし、解決に至らしめるものではないでしょうか。


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