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処理水汚泥(ブログ3260)

  • 2023年06月26日

 福島県だけでは無く全国の漁業組合から絶対反対を表明されているにもかかわらず、そして、「漁業者の理解が無いままでの放出はしない。」と約束したにもかかわらず、全てを無視して、この夏にも第1原発の汚染水の海洋放出を行うべく準備を進めている政府と東電ですが、新たな問題が浮上しました。

 この汚染水を浄化する過程で発生した、放射性を含む汚泥(スリラー)の保管場所が満杯に近づいているというものです。

 福島民報によると、多核種除去設備(ALPS)で処理された際に発生した汚泥はストロンチウムなど多くの放射性物質を含むためにポリエチレン製の高性能容器(HIC)に入れた上でコンクリートの箱の中に入れて保管されます。

 この「保管容器は」約3㎥あり、2日に1基のペースで増え続けています。保管容器4384基に対して今月の15日現在で95.6%に当たる4195基が埋め立てられ、来年7月には置き場がなくなる見通しのようです。

 東電は新たに192基分の容器を計画していますが、1年ほどで再び満杯になり用地の確保にも限りがあって、保管している汚泥の減容や処分など抜本的な対策が求められます。

 東電は、この水分を含んだ汚泥を脱水する事で減容し、それに見合った処理施設の建設計画を検討しましたが、規制委員会から放射性物質を取り扱う手段や安全対策が不十分と指摘され、機器の仕様の見直しを余儀なくされ現在中断をしており、規制委員会の委員からは、「東電は、汚泥の保管を安定させる重要性を認識していないのでは無いか」という声も出されています。

 この減容乾燥処理施設が稼働すれば、汚泥は固体廃棄物貯蔵庫に搬送されるため、保管場所に余裕が出来ますが、乾燥する際に排出されるガスの処理や処理後であっても放射性物質を含む汚泥が次々に運ばれてくることから、抜本的な解決にはなりません。

 当然のことながら、政府と東電はこれまでの「高レベル放射性廃棄物」だけでは無く、行き場のない処理水汚泥という新たな「放射性廃棄物」の最終処分についても背負っていかなければなりません。そして汚泥は日々排出され増え続けていきます。

 もはやその場をごまかすパッチワークばかりではどうにもならなくなりました。

 仮に全ての原発が止まっても、福島第1原発からは汚染水が発生しますし、それに伴って汚泥も発生します。海洋放出だけでは解決しない問題もここには存在するのです。


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