公立高校の実態(ブログ3923)
- 2025年05月19日
「私立高校の授業料無償化よりも公立高校の環境を良くして欲しい」そんなオンライン署名に、今春、都立高校を卒業した大学生が取り組んでおり、この2ヶ月ですでに3万5,000筆が集まったと東京新聞が報じました。
記事によると<「子どもや教育にお金をかける方向性には反対しないけど、優先順位が違う」と疑問を投げかけている荒川区に住む18歳の発起人は、教員不足や労働環境、施設の改善など公立高校の問題を解決するために、「私立高校の授業料無償化に反対し、公立高校の環境改善を求めます」と署名活動を始めました。
発起人が署名を始めた背景には、「1年生の時、英語を1年間で4人の教員に教わることになった。担当教諭が産休に入り、代わりの教師が定着しなかった。授業のやり方が変わり戸惑うことが多かった。2年の時は家庭科担当の教諭が産休に入ったが代替え教諭が配置されず、別の教諭が2クラスを受け持った。忙しそうな教員には相談しずらく、“寝ていないんだ”と漏らす声を聞いた」さらに、老朽化した校舎の教室はエアコンが効かず、厚かったり、雨漏りもあった。>と、新聞は伝えています。
今まで、蓋をされていた公立高校の教育の不備や環境への配慮不足の問題という負の実態が、私立高校の授業料無償化を景気に大きく表出したようです。
函館市の公立高校の生徒から私に相談があったのは、教室の天井から雨漏りがする。天井には大きなシミが現れ、床にもバケツなどを置かなければならない。教室のイスが古くなりすぎて、座面がささくれ、スカートやスラックスがすぐに傷んでしまう。女子トイレの水洗にはウオシュレットが無く、便座も暖房が入らず、冬は、暖房とウオシュレットが付いた1基だけのトイレに生徒が殺到し、休み時間だけでは対応しきれない。何とかして欲しいという声があり、校長に話をしたら「実態は分かっているが予算が不足している」とのことでした。つまり、決められた単独高の年間予算では対応が出来ないと学校経営者も嘆いています。
早速、道教委に実情を話し、イスの改善、雨漏りの修繕、トイレの改修が実現しました。
しかし、他の公立高校も同じような実態では無いかと、道教委に調査を依頼し、改善するように求めました。
同じく、函館市内の盲学校では、「運動会までにグランドを整備したいが、予算が無く難しいので、ボランテイアをお願い出来ないか」と私が所属する奉仕団体に相談がありました。相談を受けた団体が、6月の運動会までに業者を入れてグランドの整備を奉仕する事になり、例会で話がありました。私はその奉仕には異を唱えませんでしたが、道立高校、それも視力に障がいがある生徒が通う学校のグランドに草が生え、石ころも転がっている、平らではなく波が打っているという現実を道教委はどのように受け止め、対応するのかと道教委に投げかけました。整備費は約16万円です。
今月の14日に道教委に伝えましたが、未だに返事が返ってきていません。東京新聞に掲載されていた都立高校の卒業生が始めたオンライン署名から伺われる実態は、東京だけの話では無く、道立高校の実態にも通底しています。おそらく全国の高校でも同様なことが起きていると思います。署名を始めた発起人の思いは、私には十分に理解出来ます。
そして、多くの公立学校の生徒・先生達は、その声を形にするべきではないかと考えます。