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入管法改正に根拠無し(ブログ3226)

  • 2023年05月23日

 入管法の改正案が提出され、審議が始まります。

 大きな改正内容は、「難民申請者の強制送還」で、現在の法律では申請中は強制送還されることはありませんが、改正案では、3回目以降の申請中であっても強制送還が出来ることになります。

 現在、日本国内には約7万人の「非正規滞在者(今は不法滞在者とは呼ばない)」が在留し、何らかの理由で在留資格が喪失し「退去強制令書」が発布されると、彼らは日本を出るか、入管施設に収容されるかを選ばなければなりません。

 入管施設に収容されれば、これまでも指摘されてきたように人権とはほど遠い処遇を受けることを彼らは熟知していますから、退去を求められた人のうち約95%が日本を後にしていますが、日本人と結婚して家族と別れたくない人、日本で経済基盤を確立している人、自国に戻ると命の危険がある人、戦争や迫害の恐れによって祖国へ帰れない人、そして、物心が付いたときには日本にいた、自分は日本人だと思っていた、日本で生まれて日本の学校で学んだのに、ナゼ「外国」に送還されなければならないのか。

 難民と認められるべき人も含めたこれら人たちが「例え収容されても日本に残る」と決めたのは、命を賭けるほどの事情があると言うことです。

 日本は、このような方々人たちを「送還忌避者」と呼んでいます。しかし、嫌がって避けるのではなく、そうせざるを得ないのです。

 2022年末時点で4,233人の送還忌避者のうち日本で生まれ育った18歳未満の子どもが201人おり、このうち7歳から12歳が79人、13~15歳は40人で、改正案が通過すればこの子ども達も強制送還の対象となります。

 出入国在留管理庁(入管)が法改正の理由としているのが、送還忌避者が多すぎるので強制送還が必要」ということです。5月11日、国会で「新に送還忌避者となった人」と「送還忌避者ではなくなった人」の人数を問われた入管は、「統計を取っていない」と答弁しましたが、18日に更なる追求を受け、実は統計は「存在している」ことを明らかにしました。ここでも、官僚は政府に忖度し都合の悪い質問には「ウソ」の答弁を行っていました。法改正の根拠としている数字を隠しているとは何事か、そもそも「立法事実」が存在するのかも疑わしい事になります。

 併せて、難民申請の審査を行う「難民審査参与員」で、法務委員会でも参考人として多くの発言をしてきた「柳瀬房子氏」が、年間の「難民対象者の対面口頭意見陳述」の件数を過大に報告していた事実も判明しました。

 立法事実となる、この場合法改正の根拠となるべき数字が恣意的に隠されたり、虚偽のものだったりする事が明らかになっているのも関わらず、成立をごり押しすることに何の正当性が有るのでしょうか。

 日本における難民認定率は、2021年で0.7%(74人)と他国と比較して著しく低く、イギリスでは63.4%(13,703人)、カナダでは62.1%(33,801人)となっています。日本の難民対策の事情を知っていれば、日本には来なかったかも知れません。

 難民の人たちを受け入れて、仕事を斡旋し、地域コミュニティーでも包摂するという空気が残念ながら日本には有りません。

 こんなことでは、これから人口減少による働き手の不足をカバーするための外国人労働者を確保する事は難しいことと思います。残念ながら日本の人権意識は、全くの後進国となっているということです。(AERA.参照)


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