低レベル廃棄物の処分は(ブログ3912)
- 2025年05月07日
中部電力浜岡原発2号機の、商業原発で初となる原子炉の解体が始まりました。
この事に関し、朝日新聞の社説は政府や電気事業者の無責任さを指摘していました。
今回の浜岡原発2号炉の廃炉は既に決まっていたことですが、この他にも国内では18基(福島第1原発を除く)の廃炉が決まっており、30年~40年台にかけて各原発で解体工事が始まることになります。
解体工事が始まると言うことは、解体による廃棄物が大量に生じるということを意味しますが、その中でも制御棒などの「L1」と呼ばれる廃棄物は、低レベルに分類されているとはいえ、数万年を超えて人体に影響を及ぼすおそれがある廃棄物です。
そのために規制委員会が3年前に70m以深の安定した地盤に埋め、300~400年間管理するという基準を定めました。しかし、誰が管理するのも定かではありません。
政府は、使用済み核燃料を再処理した高レベル放射線廃棄物の処分に責任を負いますが、廃炉に伴う放射性廃棄物は電力会社の責任で処分する事になっています。「L1」は1ヶ所で処分する事も選択肢として、電事連(電気事業連合会)が検討を進めていますが、15年に将来的に発生する放射性廃棄物の推定量や施設の概念が示されたまま、動きらしい動きがありません。
規制基準は、高レベル放射性廃棄物最終処分場とほぼ同様で、70m以深と500m以深の違いだけとなっていますが、活断層や火山、地下資源など避けるべき条件の他にも地殻変動などの考慮すべき条件が求められます。
電事連は施設の概念は示しましたが、どの程度の施設規模になるかなどは全く不明となっており、さらに地元の理解と同意は必要不可分であり、ボーリングや地質調査も欠かせません。にもかかわらず、地元への説明・同意の手続きを含めて誰がどのように調査を進めるのかなど、何も決まってはおりません。政府が行う高レベル放射性廃棄物の最終処分場は、文献調査に約2年(寿都町・神恵内村は20年11月17日から開始しましたが、まだ手続きは終わっておりません)、概要調査に約4年、精密調査には約14年を要し、スムーズに進んでもそれから建設に約20年を要します。
さて、浜岡原発2号機は廃炉作業が始まりましたが、そこから生じる廃棄物の処分施設が全くの手つかずになっています。さて、当面は浜岡原発敷地内仮置きするのでしょうか?それにしてもL1は放射能を放出する廃棄物です。野ざらしとはなりませんが、まったく何も決まっていないのです。無責任にも程があります。これが電気事業者の実態です。
にも関わらず、新しいエネルギー基本計画では、廃炉を決めた電力会社の原発敷地内で、建て替え(リプレース)を進める方針が決まりましたが、処分場が決まらないままにこれを進めると言う事になれば、無責任な電気事業者として国民は大きく指弾するでしょうし、政府の丸投げには「開いた口が塞がりません」。
国策として原発を推進してきた政府そして電気事業者は、どのように原発の廃棄物の適地を見つけるのか、また、どのように処分するのかを明らかにしなければ、原発の解体はおろかリプレースなど、「何をかいわんや」ではないでしょうか。政府の責任の下で早期に明らかにすべきです。