今年の人事院勧告(ブログ4023)
- 2025年09月02日
人事院が25年度の国家公務員の月給を平均3.62%、一時金を0.05ヶ月引き上げるよう内閣と国会に勧告しました。
今回の引き上げは4年連続の引き上げ勧告で、3%を超えるのは1991年以来34年ぶりとなります。これまでは、新卒など若年層に重点を置いた配分となっていましたが、今回は全年齢層で昨年を上回る水準に引き上げる内容となっていますので、勧告には一定の評価をしますが、それでも47ヶ月連続で上昇している物価高騰には及ばず、結局実質賃金の減少に歯止めをかけるには至っておりません。
民間の今年の春闘では、平均5.52%の賃上げでしたから、民間賃上げを参考にしたとはいえ、1.9%もの格差が生じています。
近年、公務員への志望者が減少し、職員定数を確保する事が出来ません。これは国家公務員だけは無く地方公務員も同じ事で、以前のような公務員志向は姿を消し、公務員試験は民間の滑り止めと化していますし、公務員として入庁しても数年で途中退職をしてしまい、民間に再就職する方が多くなってきています。その主原因が、官民給与格差と時間外勤務の多さとなっています。
地方自治体職員給与は、国家公務員に準ずることが労使慣行となっていますから、先ずは人事院で、勧告内容を引き上げてくれなければ手取りは低いままとなります。
また、時間外勤務の多さは、この間の定数削減と職員不足、合わせて行政需要の増大が原因です。
そして、医療法人、福祉法人、教育法人などの多くは人事院の俸給表を参考にしている事業者が多く、中小企業も目標・目安にしている企業も少なくありません。
従って、人事院勧告は国内の多くの労働者の給与に大きく影響を与えています。
そして、人事院勧告は国会で承認しなければ執行できません。
昨年は、10月に衆議院選挙があり、その結果、与党が過半数を割り込んだため臨時国会の開催が政局になり、結局12月に開催されましたが、短期間の開催となってしまったことから、閣議決定が行わても衆議院での給与法改正が行われずに年明けの通常国会になってしまい、本来は、4月に遡って年内に差額分が支給されるはずが、地方自治体は年明けの2月~3月に行われる地方議会でなければ給与条例の改正が出来ず、12ヶ月後の今年4月からの給与改定となりました。実に給与改定が1年遅れとなってしまったことになります。
今年は、自民党の内紛でいつ臨時国会が開催されるのか不透明ですが、速やかに国会を開催して、早く実施に結びつけて欲しいと思います。