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下北半島核施設と防災体制

  • 2012年02月20日

青森県の下北半島には、大間原発だけではなく、隣のむつ市には使用済み核燃料およそ3,000トン(原発30基分ともいわれている)が貯蔵でき、最終的には5,000トンまで拡大を予定している「使用済み核燃料中間貯蔵施設」が、今年、建設を終え操業される予定となっています。
使用済み核燃料の再処理が頓挫している現在、全国の原子炉内にある貯蔵プールはここ数年の内に限界が訪れ、六ヶ所村にある貯蔵施設も3,000トンの使用済み核燃料が満杯の状況となっていることから、新たに施設を建設しなければならず、2010年に工事に着手しました。
ここに貯蔵される使用済み核燃料も長期間高熱を発し続けるために水中での冷却が必要となり、50年間貯蔵しなければならないことから、原発が無くなったとしても使用済み核燃料が有る限り放射能の危険から免れることはできません。
福島第1原発は電源を失なったことからプールを冷却することができず、定期検査中の4号機は水が蒸発して、核燃料損傷、高濃度放射性物質放出の危険に晒されました。
これらのことがあってもなお、原子力安全保安院はむつ市に建設中の施設に対し、「電源を要する冷却機能は求められておらず、緊急安全対策は不要」と判断しています。
この施設から北海道まで、直線で約45km。現地からは恵山の山がすぐ目の前に姿を現しています。
原子力資料情報室が、六カ所村の使用済み核燃料貯蔵施設から1%の放射能放出事故をシミュレーションした結果をもとに、むつ市に当てはめた場合、風速4mで函館市は全数死亡線量の7シーベルトの被曝、室蘭までは半数致死線量の3シーベルト、福島第1原発シビアアクシデントにおける作業員最大被曝量の250ミリシーベルトでは、半径700km、関東全域以北樺太まで範囲が広がり、事故の深刻さは桁外れと想定しています。
さて、六ヶ所村核燃料再処理施設の核サイクルについても考えてみます。
ウラン鉱石をウラン濃縮工場で核燃料とし原発で使用後、使用済みとなった核燃料を中間貯蔵施設で管理し、それを再処理工場でプルトニウムとウランを分離・抽出し、分離・抽出されたプルトニウムとウランをMOX燃料加工工場で混合加工、出来上がったMOX燃料を各地の原発でプルサーマル計画に沿って燃料とする。
この行程で排出された高レベル放射性廃棄物は、貯蔵管理センターでガラス固化体にし、最終処分まで貯蔵管理する計画で進められてきた核サイクル計画でしたが、未だに技術が伴わず、計画は思うに任せません。
高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターでは、昨年3月時点ですでに海外で加工したガラス固化体1,338本を受け入れており、今後はさらに固化体が海外から約2,200本返還の予定となっており、2,880本の施設規模では、最終処分場が決まらなければ施設は受け入れ許容を越えることになります。
低レベル放射性廃棄物はドラム缶に詰めて埋設センターで受け入れますが、許容は300万本相当で、昨年までに約23万本を受け入れ、それでも全国の原発には、まだ約65万本が有ります。
これら核燃料再処理に関わる全ての施設が、北海道から約93kmの位置にあります。
さらに、六カ所村の核サイクル施設の東側沿岸には84kmに及ぶ大陸棚外層断層があり、この断層と繋がった2本の断層が核サイクル施設の直下にあることが判りましたが、これらの施設の耐震基準は450ガル、2008年の宮城内陸地震は4,022ガルであったことを考えると、施設の耐震化は無いに等しいものですが、今となってはこれらの施設は放射能で既に汚染されているために耐震工事もできません。
むつ市や六カ所村の核サイクル施設は、原発と違い、EPZやUPZの基準等などは全く無く、国の防災計画の対象にもなっていません。
他の地域の原発よりも、全ての核関連施設が揃う六カ所に事故があれば、日本は壊滅的ダメージを負います。
この下北半島核関連施設にこそ、国民多くの目が集中し、事故のシミュレーションと共に国家的な防災体制を整えることが急務と思います。


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