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プーチンvsトランプ(ブログ4009)

  • 2025年08月19日

 トランプとプーチンの首脳会談が終了しました。

 まったく何の進展も無く、トランプがプーチンに媚びへつらっていただけしか印象に残らない会談でしたが、無能なトランプの一面を見ることが出来たことだけは痛飲ものでした。政治家としてのどちらが狡猾だったかというと軍配はプーチンで、これはロシアの伝統的お家芸が、プーチンまで上手に継承されてきたということなのでしょう。

 一方のトランプは、虚勢ばかりで交渉の中身すら薄っぺらく、プーチンに何らかの譲歩を引き出すことも出来ませんでした。ディール(交渉)でのし上がってきた男の底の薄さが米国内だけでは無く世界中に露呈してしまったのです。

 さすがに米国のメディアは、自国の大統領をこき落とすのに躊躇したのか、はたまたトランプによって後から締め出しを食らうのを避けたのか、批判もおとなしめな感じでした。

 プーチンとの会談を終えて、トランプはゼレンスキー氏やEU、NATOの首脳と会談をするようですが、その手の中には何のカードも持ち合わせていないと思います。

 プーチンには、「ゼレンスキー氏とEU・NATOを説得してこい」と言われたのでしょうか、プーチンの主張する領土割譲をそのまま持ち出し、軍事と経済という圧力で押し通すしか、彼には残っていません。そのために、ウクライナには領土割譲の見返りとして、NATOに準じる米国との安全保障体制を条件に出してくるのでしょうし、EU・NATOには、「双方不可侵の確約」を結ぶとでも言うかも知れません。

 これで、停戦が実現すれば、喉の奥から手が出るほど欲しかった「ノーベル平和賞」が近づくと目算しているのでしょう。しかし、世界に冠たるノーベル財団がこんなペテン師をノーベル平和賞に認定するならば、もはや、ノーベル財団はその権威が失墜し、ノーベル賞自体に特別な意義を見いだすことはなくなるでしょう。

 また、力による領土割譲は、国際法上認められない行為ですから、何としても守っていかなければなりません。これを一旦認めてしまえば、大国による領土拡大に歯止めがかからなくなってしまいますし、日本もロシアとの関係では、未だに解決していない北方領土が横たわっており、中国と台湾の問題も控えています。ウクライナ問題ではEUとNATOにトランプの暴走を何とか押さえて貰いたいと思います。

 一方、万が一に割譲が現実となった場合、東部に住む住民がウクライナに住みたいと主張した場合、認められる事になるのでしょうか。ロシアは、この地域に住むロシア人の人権を守ると言う事を「大義」として侵略したのですが、肝心の住民達が専制的なロシアより、民主化されたウクライナを選ぶことは十分に想定されます。

 ゼレンスキー氏は受け入れるでしょうがプーチンはそれを許さないでしょう、中国が香港に行ったように。

 例え領土が割譲されても、自らが住む場所を自らが選択するのは守らなければならない人権の基本です。割譲の条件とすべきです。

 また、狡猾なロシアことですから、喉元を過ぎれば同じような事を繰り返す可能性が有ります。武力による領土の変更について、今回のロシアの例を二度と繰り返さないために同じようなことが起きたら、国連加盟国を挙げて首謀者を断罪するための条約を早急に結ぶことをしなければなりません。世界では、イスラエルによる民族浄化の他、中国と国境を接している山岳地帯や、領海主張でにらみ合っている東南アジア、インドとパキスタンなど、火種となっているところがいくつも存在しますが、領土に関する基本は、主張は主張としつつ、現状維持としておく事も知恵では無いかと思います。


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