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トランプの大学介入(ブログ3932)

  • 2025年06月03日

 トランプがハーバード大学に対し、留学生を受け入れる資格の取り消しを通知しましたが、さらに、連邦政府はハーバード大学と締結している調査や研究、研修などの契約を全て打ち切ることも、トランプの指示で行われようとしています。

 イスラエルによる攻撃に対して抗議のデモを行ったハーバード大学の学生に対し、「反ユダヤ主義を増長している」と主張し、自らの意に沿わないと激怒、とりわけ、海外からの留学生達を大学から排除するように要請しましたが、学長がこれを拒否、その結果として、補助金の一部約30億ドル(4,260億円:1ドル142円換算)を打ち切ることを連邦政府が表明しました。

 ハーバード大学は、マサチューセッツ州の他の高等教育機関、マサチューセッツ総合病院やボストン小児病院などの主要医療関連施設とのネットワーク、医師や臨床研究者、生命科学関連の企業や科学者等が連携しており、とりわけハーバード大学のブランド力によって培われた人材を多く輩出しています。

 23年の報告書では、教授陣だけでなく、研究助手や技術者、事務職員などマサチューセッツ州に在住する1万8,700人以上が勤務しており、州で4番目の大きな雇用を担っており、独自の基金を530億ドル(7兆5,260億円)保有していることから、他の大学よりも法的・政治的な争いを乗り切るだけの財政力はありますが、米国政府全ての権限と財政を握るトランプとの喧嘩は、必ずしも展望が持てるとは言い難いのではないかと危惧します。

 また、今後もトランプがハーバード大学に対して様々な仕打ちを行えば、州の教育関連業界や医療産業、研究所用の機器を製造する企業や製薬会社、融資を行う金融関係、連携する弁護士事務所、関わる専門サービス企業、不動産関連も、つまり、マサチューセッツ州の経済に与える影響は甚大なものとなります。

 そのことから、ハーバード大学は連邦地裁に提訴し、地裁は政権の措置を一時差し止める決定をしましたが、連邦高裁はこの差し止めの決定を差し止めるという事になりました。

 行政もトランプの顔色を伺い、忖度したということです。

 今後は連邦最高裁に判断が委ねられる事になりますが、トランプは最高裁判事の半数以上を共和党色の濃い判事を就任させるなど、過去のトランプに関わる訴訟も含めて自身に有利になる人事を行っていますから、連邦最高裁に正義と公平性、民主主義を判断基準とする公正な判断を行う事が出来るのかは疑問です。

 最高裁の判断がトランプ寄りとなった場合、トランプは立法・司法・行政の全てを統べる完全なる独裁者となり、米国の民主主義は崩壊することになるでしょう。


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