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アンモニア混焼(ブログ3520)

  • 2024年03月22日

今日の道新の1面に掲載されていた石炭火力発電の「アンモニア混焼」ですが、実は今年1月に道議会「産炭地域振興・エネルギー等調査特別委員会」で、当該の愛知県碧南火力発電所を視察してきました。

碧南火力発電所は、JERA(東京電力と中部電力の出資会社)の運営する火発で、1号機から5号機まで総発電量410万kw、そのうち100万kwを発電する4号機で、燃料石炭へアンモニアを20%混焼する実証実験を今年3月から行い、将来は60%まで引き上げ、最終的にはアンモニア発電100%を目指すとのことでした。

化石燃料の発電は、世界中から廃止の方向性が示されていますが、JERAはNEDO(政府が設置した法人:新エネルギー・産業技術総合開発機構)からの支援を受けて、「世界のファーストペンギンになる」との方針から、どの国も手を出さない化石燃料とアンモニアの混焼実験に半端ではない予算を投入しています。

今の試算では、アンモニアが国内では調達できないことから通常の発電の3倍もコストがかかる電力となりますが、今後は自社でアンモニアも製造する計画で、そのために広大な敷地も確保しています。

これまでの初期段階での実験で使用したのは「グレーアンモニア」で、3月からの本格実験からは「グリーンアンモニア」をメキシコから輸入して発電、商業発電からは「ブルーアンモニア」を米国から輸入し、その後、自社でも「ブルーアンモニア」を製造する計画になっています。

ここで言う「グレーアンモニア」は、化石燃料から精製するアンモニアで、製造時にCO2が発生しますから、混焼してもCO2削減効果は低下します。

「グリーンアンモニア」は、水を電気分解⇒水素精製⇒窒素と合成という工程で生成されますが、この最初の電気分解時に再生可能エネルギーを使用することから、精製にCO2が発生しません。

最後に「ブルーアンモニア」ですが、精製により発生したCO2を回収して再利用することにより、完全にCO2を発生させない方法です。

JERAでは、30年までに商業運転、40年までに混焼率を徐々に引き上げ60%に、50年までに100%としてゼロエミッションに移行する計画ですが、果たして、多額の予算をつぎ込んで、成功に向かうのか?期待と疑問を感じた視察でした。

アンモニア100%火発の目標まで、25年以上の年月がかかりますし、それまではCO2を排出し続けます。アンモニアの自社製造と言っても国内の火発に提供できるまでの生産は出来ません。さらに、発電コストがどのように試算されているかも明らかにされず、JERAに疑問をぶつけても、国策で推進していることから強気の発言ばかりです。

COP28での議論も各国の事情で後ろ向きになっていますし、日本はその最たる国で「化石賞」も受賞しました。どのような形にせよ、化石燃料での発電を続ける限り、CO2は排出しつづけるのです。そして、再生可能エネルギーの普及は遅れてしまいます。


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