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「さとふる」に思う(ブログ3104)

  • 2023年01月11日

 昨年末は「貴花田氏」のTVCM「さとふる」が常に画面に現れていました。

 「さとふる」とは、すなわち「ふるさと納税」を推進するためのサイトで、このサイトでは、この自治体ではこれだけの金額を寄付(納税)するとこのような返礼品がもらえますと、様々な海産物から農産物などその自治体の特産物が並んでいます。

 なぜ、年末になるとTVCMが頻繁に流れるのかというと、22年分の期限が12月31日だということです。

 すなわち、「皆さん、もうすぐ締め切りですから忘れずに申し込んで下さいね。」ということなのです。

 ご存じのとおり、ふるさと納税は自分の「選んだ自治体」に寄付(ふるさと納税)を行った場合、寄付額のうち2,000円を超える部分について、所得税と住民税から原則として全額が控除される制度で、2021年には寄付金が8,302億円のも達しました。 この制度は、過疎化が原因で税収が減少している自治体があり、地方間で税収に格差が生じている状況に歯止めをかける格差是正を推進するために導入されたものです。

 すなわち、地方出身者が都会で生活をし、自分のふるさとへ何らかの貢献をしたいということを寄付という形で実現させ、そのインセンティブとして返礼品を受け取ると言うことですが、本来受けるべき返礼品の上限である「返礼率30%・域内の物」というルールがいつの間にか守られなくなり、競争が激化、一部の自治体に過度の寄付が集中する結果となりました。

 所得の高い層が多い都市部の住民がふるさと納税を行う傾向が強く、その結果、ふるさと納税に熱心な方が多い自治体は住民税が赤字になるという現象が起こります。そして都道府県も控除対象となるために構成自治体の住民税が赤字になると、都道府県も納税受入額もマイナスとなります。

 この結果、2022年の税収減の見通し額の上位10自治体は、1位横浜市:230億900万円、2位名古屋市:143億1,300万円、3位大阪市:123億5,900万円、4位川崎市:102億9,100万円、5位世田谷区:83億9,600万円、6位さいたま市:73億9,100万円、7位神戸市:70億円、8位札幌市:66億3,900万円、9位京都市:64億4,300万円、10位福岡市:62億5,500万円となっています。いずれも都市部です。

 一方、2021年多くの寄付を集めた上位10自治体は、1位北海道紋別市:152億9,700万円、2位宮崎県都城市:146億9,700万円、3位北海道根室市:146億500万円、4位北海道白糠町:125億2,200万円、5位大阪府泉佐野市:113億4,700万円、6位宮崎県都農町:109億4,500万円、7位兵庫県洲本市:78億4,200万円、8位福井県敦賀市:77億1,400万円、9位山梨県富士吉田市:72億771,400万円、10位福岡県飯塚市:65億6,400万円となっており、ベスト5位までに北海道は3自治体が含まれています。また、泉佐野市や洲本市では返礼品のルールが大幅にねじ曲げられていたことが判明しています。

 都市部は、税収減により待機児童や保育士の不安定雇用や低賃金が、また児童相談所の相談員不足などの問題が解消されておりません。

 私たちは居住自治体のサービスを受けなければ社会生活を営んでいくことが出来ません。従って、自治体税収の基本である住民税は居住自治体に納税すべきです。

 きつく言うと、居住自治体に納税せず、自治体サービスは当然のように享受し、ふるさと納税で美味しい物に舌鼓を打っている方が、自分のまちの福祉や社会インフラ、冬であれば除雪などに「ああだ、こうだ」とは・・・。

 自治体間の格差是正は、このような制度ではなく政府が交付税によって是正するべきものであり、また、高所得層が制度を上限まで利用し納税を返礼品に変える一方、低所得層はこの制度を利用できる状況には無いなどの不公平を生み出している「ふるさと納税」に私は疑義を持っています。

 納税は税の公平な分配であり、住民福祉の根幹です。したがって居住自治体への納税が基本だと思います。


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