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文献調査の報告書(ブログ3476)

  • 2024年02月08日

 新聞報道に依りますと、NUMOによる高レベル放射性廃棄物の最終処分場に関する「文献調査」の報告書の原案がまとまり、今後は、開催地は未定ですが、寿都町、神恵内村などで説明会が開かれる事になりそうです。

 報告書の内容は、想定していたように「概要調査」が可能との内容になると思われ、今後は、地質や地震学者などで構成された経産省の作業部会で、文献調査報告書の原案が政府の調査評価基準に沿った内容であるかを確認、その後に、同じく経産省の特定放射性廃棄物小委員会でも審議される事になります。

 2年間という文献調査期間を経て、さらに1年以上も時間を掛けた報告書ですが、報告書を作成したNUMOも、経産省の関連団体であり、内容確認を行う作業部会も経産省が選任した専門家、さらに、小委員会も同じく経産省が選任した方々。

 これらの方が確認そして審議しても、単なるアリバイ作りにしかならないような気がします。

 そもそも、高レベル放射性廃棄物の処分方法は、1984年当時の「原子力委員会放射性廃棄物対策専門部会」において、天然バリアーと人工バリアーという2つを併せた手法を用い、放射能が無害化すると言われている10万年間、地中に埋設するという方向性が示され、その時の、専門部会の中間報告では、具体的に「4段階研究開発方針」も示されました。

 4段階とは、第1段階として「有効な地層の選定」、第2段階として「処分予定地の選定」、第3段階として「模擬固化体による処分技術の実証」、第4段階として「実・固化体処分」という内容で、この発表時点で、専門部会は既に第1段階の有効な地層の選定は終了しているという結論を示しています。

 第1段階の基本的考え方は、<地層(岩体)の調査を行い、地層処分の研究対象となりうる「可能性がある地層」を抽出するとともに、地層の特性の調査研究、人工バリアーの研究等を行い、これらの成果を踏まえて我が国における「有効な地層」を選定する>となっていますが、84年の段階で「これまでの研究で、我が国における『有効な地層』」としては、未固結岩等の明らかに適正に劣るものは別として、岩石の種類を特定すること無くむしろ広く考え得るものであることが明らかになった」と結論づけています。

 つまり、砂のように未だ固まっていない岩石など、明らかに適正に劣るものを別にすれば、岩石を特定すること無く「有効な地層」だと広く考えても良いとしています。

 したがって、84年の考え方に沿った文献調査では、当然のことながら概要調査に進む事は明らかですし、鈴木知事が反対の判断をしなければ、概要調査そして精密調査へも問題なく進み、最終処分場は単に寿都町と神恵内村のどちらかを選択するかだけになるかも知れません。何せ、地層は全国広く考え得ると当時の専門家小委員会は結論を出し、政府はその結論に沿って、「科学的特性マップ」を公表しましたから。

 しかし、その「科学的特性マップ」では、何と驚くなかれ、今回の地震で大きく被災した能登半島も、珠洲市のごく一部を除いて、ほぼ全域が最終処分場に適合できるということになっています。

 つまり、知事(町長・村長)が反対しない限り、寿都町と神恵内村が文献調査に手を挙げた瞬間に、最終処分場は政府のスケジュール通りの道を辿ることになると言っても過言では無いと思います。


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