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RCEPへの懸念

  • 2021年04月30日

 地域的な包括経済連携(RCEP:アールセップ)が衆院・参院で可決されました。

 RCEPはASEAN10ヶ国(タイ、インドネシア、フィリピン、シンガポール、マレーシア、ベトナム、ブルネイ、カンボジア、ラオス、ミャンマー)に、オーストラリア、ニュージーランド、日本、中国、韓国が加わった15ヶ国による包括自由経済連携協定は、日本にとっても大きな影響が予想されますが、国会での審議時間は衆議院が8時間と極端に短く、参議院でも同様に短時間の審議で可決してしまいました。

 2016年、環太平洋連携協定(TPP)に参加するか否かの国会審議には多くの時間をかけ、当時は自民党が『ウソつかない。TPP断固反対。ブレない。~日本を耕す!!自民党』というポスターを全国に貼りだし、その後、舌の根も乾かぬうちにTPP協定への参加を決めましたが、この時の衆院農産水産委員会では、TPPを採決する際に<①農林水産物の重要品目について、引き続き再生産可能となるよう除外または再協議の対象とする。10年を超える期間をかけた段階的な関税撤廃も含め認めないこと。②重要5品目などの聖域の確保を最優先とし、それが確保出来ないと判断した場合は、脱退も辞さないものとする。③国民への十分な情報提供を行い、幅広い国民的議論を行うよう措置すること。>とする国会決議を採択し、米、ムギ、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物の「聖域」5品目は守れたと喧伝しましたが、実際は税率維持は一部にとどまり聖域の確保には至らず、国会決議は絵に描いた餅と化してしまいました。

 あれから5年、この間、EU・EPA、日米貿易協定など続けざまに自由貿易協定を、結びましたが、その結果、日本の農業にどのような影響があったのか、政府は国民に知らせようとはしていません。

 北海道の農業は、まさしく重要5品目が主流となっていますが、今回のRCEP加盟によりASEAN各国に課せられていた重要5品目以外の野菜や果物の関税は撤廃され、北海道が得意とする高収益な野菜や果物も多く含まれています。

 その結果、価格競争に巻き込まれたり、日本の高級ブランド品の野菜や果物の偽ブランド品が加盟各国に出回ることも懸念されます。

 今回のRCEPでも、日本が求めるのは工業製品の関税撤廃です。

 またもや政府は、一次産業が二次産業の犠牲となることに意を介しませんでした。

 そして、日本の農水産業が衰退して食の自給率が下がり、国民にとって重要な食の安全保障はさらに他国任せとなってしまいました。


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